【考察】売場レイアウトに込められた仕掛け
『コンビニエンスストア(CVS)編』
–はじめに–
リアル小売店において
利益を最大化するノウハウのひとつは、
「チェーンストア展開」であることは
異論がないと思います。
チェーンストアは店舗を大量に出店して
商品を大量に販売することで
売上規模の拡大を行っています。
言い換えれば、
同じタイプの店舗=規格が標準化した店舗を
作らなければ大量出店はできません。
標準化とは
例外をできるだけ最小化することで、
建物の構造、工法、設備、仕上げ、
デザイン等の設計を基本セットとし
パターンを作ることです。
(注文建売住宅でいう
「標準仕様」と同じです)
本シリーズは、店舗の売場レイアウトを
通じて業界を読み取らんとする試みです。
売場レイアウト設計はお客様にとっては
スムーズなお買物・サービスが
提供される場であり、
店舗にとっては合理的な品揃え、販売、
営業、運搬、移動が行える場として
設備、装置などを配置する行為です。
また、レイアウトは利用可能な売場面積の
制約の上に構築されています。
それでは、以上を踏まえた上で、
個々の業態について考察していきましょう。
※本記事は全5回構成の一部です。
シリーズ一覧はこちら
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コンビニの“型”に、戦略あり。
1回目は、コンビニエンスストア(CVS)の店舗レイアウトを見ていきます。
「近くで便利」がコンセプトの業態ですが、その利便性は立地だけでなく、売場構成や動線設計にも緻密に組み込まれています。どのような狙いが隠されているのでしょうか。

上記はあくまでも基本系であり、これを応用することで
各企業の工夫や強みが色濃く反映されているのですが、
この基本的なレイアウトには、出来るだけ消費者に多くの商品を見てもらう等、
様々な工夫が随所に込められています。
①入口
入口は1か所で、レジカウンターと正対しないようになっています。
従業員と目が合わないで気楽に来店できます。
②動線
主力商品を壁面に陳列→来店客が自然に店内を一周してしまう仕掛けです。
けっしてワンウェイではありません。
来店客は目的の商品に最短距離でのアプローチが可能です。
主力商品の中食と飲料は壁面に配置しています。
③雑誌コーナー
公道に面した窓の側には雑誌コーナーを設置していますが、
近年は徐々に縮小・撤去が進んでいます。
④各種サービス端末
ATM(金融サービス)や宅配サービス受付、音楽、スポーツ、レジャーなどの
チケットのオンライン予約など物販以外の有料サービスも受け付けます。
ATMやマルチコピー機は利用者のプライバシー保護とセキュリティ上を考慮し
従業員の死角に設置されています。
たとえばATMは暗証番号や金額を見られないように、背後を壁や什器で囲うのが一般的です。
⑤行政サービス
行政サービスも代行します。住民票・印鑑証明などの発行及び公共料金の収納代行など、
とにかく顧客の利便性を追求しています。
従って、レジカウンターも伝票起票のため広くとられています。
⑥配送サービス
配便やネット通販等の荷物発送・受取サービスをレジカウンターで受け付けます。
⑦トイレ
トイレの一般開放。コンビニトイレは店舗の「施設管理権」(その場所をどう使い、
誰を立ち入らせるかを決める施設オーナーの権利)に基づいた善意のサービスです。
防犯や清掃の負担の理由で貸し出しを制限している店舗もあります。
⑧防犯
その他、高齢者や子供の安全を見守る地域防犯拠点=不審者からの「駆け込み場所ステッカー」(こども110番の家など)も公道に向かって掲示します。

⑨搬入経路
もちろん例外もありますが、専用の商品搬入口は設けず、
店頭(来店客と同じ出入口)から行っています。
トラックドライバーとの荷物の受け渡し(検収作業)も直接売場(通路)で行います。
主通路は受け渡し作業ができるよう必要なスペースが設計され確保されています。
それゆえ、商品の搬入と販売を同時に実施でき、省人対応にもなっています。
このようにして店舗の運営効率を高めているのです。
性格バランス
A:ショートタイムショッピング ⇔ ロングタイムショッピング
B:ワンウェイコントロール ⇔ 回遊性
C:手厚い接客 ⇔ セルフサービス傾向
D:中食指向 ⇔ 内食指向
内食は家庭で食材を調理して食べること。
中食は外で調理された食品を持ち帰って食べること。
E:小売吸引力 (商圏狭い ⇔ 広い)
考察
日本のコンビニは1970年代の大店法規制を回避するチートとして誕生しました。
また当時、商店街に存在していた酒屋、雑貨屋、よろず屋を募集して加盟店にしたため、居抜き店舗が多く、元の店舗の売場面積である平均30坪に必要な商品と通路が収まるようコンパクトに設計されています。
レイアウト面では非常に標準化が進んでおり、店舗間の特色はほとんどありません。他店舗や競合企業との差別化は、プライベートブランド(PB)商品の充実で行っています。ただし、小売吸引力(=そのお店だからわざわざ行く、という訴求性)はショッピングセンターやスーパーマーケットに比べて小さいです。
コンビニは今や日本の社会(生活)インフラとして不可欠な存在といっても過言ではないでしょう。小面積にも関わらず、そのレイアウトには多くの機能が詰め込まれており、他の小売業態以上に社会における役割が期待されている業態に見えます。
「わざわざ行く店」というよりも、日常生活のすぐそばで必要な商品やサービスを提供する業態として発展してきたコンビニは、小売吸引力ではなく立地と利便性によって成立している点に大きな特徴があります。
小売の勘ドコロ vol.001 :
『CVSのついで買い』
コンビニ(CVS)の店舗レイアウトは、目的買いの来店客に「ついで買い」を促すよう設計されています。弁当や飲料など来店動機になりやすい商品を店奥に配置し、その途中に菓子やデザート、ホットスナックなどを並べることで、自然と視界に入りやすくしています。限られた売場面積の中で購買機会を最大化するため、動線と商品配置が緻密に設計されているのが特徴です。こうしたレイアウトの工夫が、コンビニの高い客単価を支える要因の一つになっています。
次回は、Dgs(ドラッグストア)業態の店舗レイアウトについて見ていきます。第2回へ➡
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