2026.03 DX-MOP 開設しました!

【考察】売場レイアウトに込められた仕掛け
『ドラッグストア(Dgs)編』

ドラッグストア編アイキャッチ画像

本記事は全5回構成の一部です。
シリーズ一覧はこちら

このシリーズのねらい

リアル小売店において
利益を最大化するノウハウのひとつは、
「チェーンストア展開」であることは
異論がないと思います。


チェーンストアは店舗を大量に出店して
商品を大量に販売することで
売上規模の拡大を行っています。
言い換えれば、
同じタイプの店舗=規格が標準化した
店舗を





作らなければ
大量出店はできません。
標準化とは
例外をできるだけ最小化すること
で、

建物の構造、工法、設備、仕上げ、
デザイン等の設計を基本セットとし

パターンを作ることです。
(注文建売住宅でいう
「標準仕様」と同じです)


本シリーズは、
店舗の売場レイアウトを通じて
業界を読み取らんとする試みです。
売場レイアウト設計はお客様にとっては
スムーズなお買物・サービスが
提供される場であり、

店舗にとっては合理的な品揃え、販売、
営業、運搬、移動が行える場として

設備、装置などを配置する行為です。
また、レイアウトは
利用可能な売場面積の
制約の上に構築されています。


それでは、以上を踏まえた上で、
個々の業態について
考察していきましょう。

地域の健康・美容を支えるプラットフォーム

ドラッグストア(Dgs)のサービス展開には、大きく分けて2つの志向性があります。

A.「専門志向」…薬剤師、登録販売者、美容部員等の専門知識をもつ従業員が在籍している
B.「便利志向」…価格が安い、長時間営業、家から近い、短時間で買物ができる等

また、店内で取り扱う商品については、①ヘルスケア、②ビューティケア、③ホームケア、
④コンビニエンスケア
の4つのカテゴリーに分類されます。
まとめると、以下のようになります。

スクロールできます
カテゴリー分類小分類商品例志向
①ヘルスケア調剤薬品処方箋が必要な薬専門
OTC医薬品
(Over The Counterの略。)
処方箋なしで購入できる薬
健康食品健康維持・増進を目的とした食品
ヘルスエイド総合サプリメント等
ベビー&キッズ子供向け商品(おむつ、ミルク、離乳食他)、
マタニティ商品
ホームヘルスケア介護看護用品
②ビューティケア化粧品化粧品+医薬部外品専門
トイレタリーパーソナルケア用品(石鹸、歯磨粉、入浴剤等)便利
③ホームケア
家庭用品掃除用品、消臭剤、防虫剤・除湿剤他便利
日用品ラップ、ゴミ袋、ペーパー、電池、電球他便利
④コンビニエンスケア食品カップ麺、レトルト、
弁当、酒類、生鮮等
便利

近年、「専門志向」と「便利志向」の要素を兼ね備えた店舗づくりが特に求められるようになり、
競争は一層激化しています。

続いては、店内のレイアウトについて見ていきます。
利用客の目線や従業員の配置など、ドラッグストアならではの工夫が見受けられます。

これが基本系です。もちろん基本からの応用はあります(応用こそ各企業の工夫や強みです!)。

ドラッグストアの店舗レイアウトは、
来店客が目的のカテゴリー売場に直行でき、迷うことなく商品を選び、
また専門志向の商品は有資格者の説明が受けられるように工夫がされています。

①動線
カテゴリーごとにエリアを分け、来店客の探しやすさを向上しています。
また、少ない従業員数でも滞りなく商品管理及び接客が行えるよう、入口からレジまで見通しの良い設計となっています。

②情報提供カウンター
ヘルスケア売場では「情報提供カウンター※」を設置しています。

※ 「情報提供カウンター」とは、患者さんや来局者に対して薬や健康に関する情報提供・相談対応を行うための専用スペース(窓口)を指します。多くの場合、調剤カウンターとは別に設けられ、気軽に相談できる環境づくりを目的としています。この情報提供機能は制度上も重要視されており、薬機法9条、第29条でドラッグストアに設置義務が課せられています。
また、要指導医薬品および第1類医薬品を取り扱う際には、専用の陳列区画内又は近接する場所(指定第2類医薬品陳列設備から7m以内) に陳列することが規定されています。

③医薬品
第1類医薬品は空箱陳列又はカウンター裏に在庫し、来店客の手の届かない状態になっており、
薬剤師が説明の上で販売します。
また、売場陳列棚以外に第1類医薬品を在庫するための専用ストッカーを設置する必要があります。
医薬品の各分類に関しては、以下のように販売できる権限が定められています。

有資格者調剤薬品OTC医薬品(一般用医薬品)
第1類第2類第3類
薬剤師
登録販売者××


調剤を扱わない店舗では第1類医薬品も品揃えしない傾向があります。
(2類、3類のみ品揃えし、薬剤師に比べ資格取得のハードルが低い登録販売者のみで営業する店舗が多いです)

⑤薬局区画の法令要件と分離設計
調剤を扱う店舗の薬局のレイアウトは薬局等構造設備規則(省令)により規定されています。
また、薬剤師不在の時間帯は薬局を閉鎖します。したがって調剤薬局はカーテンやシャッターなどで非調剤の売場と切り離しできるレイアウトにします。

⑦患者配慮の待合設計
非調剤売場への顧客はお客様ですが、薬局の顧客は患者様です。したがってレイアウトにおいても意識して設計されています。例えば、薬を用意して渡すまでに時間がかかることがあり、標準店では待合室(ベンチ配置)を設け患者様が待ち時間を、できるだけ快適に過ごせるように配慮しています。

⑧環境基準
薬を交付するカウンターはプライバシーへ配慮(個人情報の漏洩を防止)して他の順番待ちの患者様からは、なるべく距離をとります。また、カウンター上の照明は60lux(ルクス)以上の明るさが省令で決まっています。

性格バランス

ドラッグストア(Dgs)の業態特性レーダーチャート

A:ショートタイムショッピング ⇔ ロングタイムショッピング
B:ワンウェイコントロール ⇔ 回遊性
C:手厚い接客 ⇔ セルフサービス傾向
D:中食指向 ⇔ 内食指向
内食は家庭で食材を調理して食べること。
中食は外で調理された食品を持ち帰って食べること。

E:小売吸引力 (商圏狭い ⇔ 広い)

考察

業界研究記事等ではDgsの志向を「ディスカウント」と紹介するものが多いです。しかしながら、現在のSMやHCや100円ショップと比較すると、“いつも必ず安い”とは言い切れない場合も多いです。すなわち、Dgsのディスカウントへの取り組みは企業により濃淡があると言えます。
したがって、ドラッグストアの業態志向は「専門性」と「便利性」の二つに整理できます。医薬品や化粧品と日用品・食品を組み合わせ、日常生活に必要な商品をワンストップで購入できる店として機能している点が特徴です。

レイアウトも「専門性」と「便利性」を徹底したものとなっています。また、調剤薬局のレイアウトは、法律による制限や規制があり、患者様が快適に過ごせるような内装が工夫されています。

このようにドラッグストアは、「専門性」と「便利性」を軸に来店動機を広げることで、日常的に利用される小売業態として存在感を高めているといえるでしょう。

小売の勘ドコロ vol.002:
『広がるドラッグストアの生鮮売場』
近年、ドラッグストアでは青果や精肉など生鮮食品の取り扱いを始める店舗が増えています。医薬品や日用品に加えて食品を強化することで、日常的に立ち寄る「生活拠点」としての利便性を高める狙いがあります。とくに生鮮食品は来店頻度を高めやすい商品カテゴリーであり、集客の核として位置づけられるケースも見られます。こうした品揃えの拡張は、食品スーパーとの競争関係にも少なからず影響を与えています。

次回は、HC(ホームセンター)業態の店舗レイアウトについて見ていきます。第3回へ

目次