【考察】売場レイアウトに込められた仕掛け
『食品スーパー(SM)編』
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※本記事は全5回構成の一部です。
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このシリーズのねらい
リアル小売店において
利益を最大化するノウハウのひとつは、
「チェーンストア展開」であることは
異論がないと思います。
チェーンストアは店舗を大量に出店して
商品を大量に販売することで
売上規模の拡大を行っています。
言い換えれば、
同じタイプの店舗=規格が標準化した
店舗を
作らなければ
大量出店はできません。
標準化とは
例外をできるだけ最小化することで、
建物の構造、工法、設備、仕上げ、
デザイン等の設計を基本セットとし
パターンを作ることです。
(注文建売住宅でいう
「標準仕様」と同じです)
本シリーズは、
店舗の売場レイアウトを通じて
業界を読み取らんとする試みです。
売場レイアウト設計はお客様にとっては
スムーズなお買物・サービスが
提供される場であり、
店舗にとっては合理的な品揃え、販売、
営業、運搬、移動が行える場として
設備、装置などを配置する行為です。
また、レイアウトは
利用可能な売場面積の
制約の上に構築されています。
それでは、以上を踏まえた上で、
個々の業態について
考察していきましょう。

地域密着型サービス・待ち時間の削減・コスト競争力の強化
スーパーマーケット(SM)においては、精肉、鮮魚、青果の生鮮3品と惣菜を主体に、
グロサリー、日配食品や日用雑貨品などを品揃えしています。
売上全体に占める割合も含めて、各商品部門について見てみましょう。
| 部門 | 売上構成比(%) | 備考 | |
|---|---|---|---|
| 生 鮮 | 青果 | 13.4 | もっとも季節感が演出できる。お客様から見て 競合との価格・品質を比較しやすい部門 |
| 鮮魚 | 8.0 | 鮮度・品質で競合との差別化がしやすい部門 | |
| 精肉 | 12.0 | 輸入比率が他生鮮より高い(牛豚は半々、鶏肉は国産主流) | |
| 生鮮3部門 合計 | 33.4 | – | |
| 惣菜 | 11.0 | 競合との差別化がしやすい部門。 特にコロナ禍の外出自粛要請によって外食から中食・内食へのシフトがあり、コロナ禍収束後も消費の習慣となった。 | |
| 日配 | 20.2 | NB(※)では競合と差別化が難しいためPB(※)を強化 | |
| グロサリー | 26.6 | 同上 | |
| 食品 合計 | 91.2 | – | |
| 日用雑貨品 | 6.4 | 「ついで買い商品」、ワンストップショッピングの利便性を高める | |
| その他 | 2.3 | 宅配手数料、コピー代、自治体指定ゴミ袋の販売、他 | |
| 総合計 | 100 | – | |
構成比の出典:一般社団法人全国スーパーマーケット協会の統計調査による(2025年11月実績速報)
※「NB」とはナショナル・ブランドの略で、メーカー各社が企画・製造し、自社ブランドとして全国流通させている商品を指します。「PB」とはプライベート・ブランドの略で、小売各社が独自に企画・ブランド管理する商品群のことを指し、基本的に自社店舗でのみ販売されます。
続いては売場レイアウトについて見ていきます。
消費者目線ではなかなか気付くことができませんが、SMの店舗内では、来店客がスムーズ且つ短時間で買い物を済ませる(ショートタイムショッピング)ための工夫を端々に見ることができます。
①入口
入口付近には買い物カゴとショッピングカートが用意されています。
購入予定量や店内回遊に応じて選択でき、スムーズに買い物を開始できるよう配慮されています。
②動線
来店客は店側があらかじめ設計した一方通行のルート(客動線)に沿って回遊します。もちろん自由に歩き回ることもできますが、主通路は、「左まわりの法則」に基づいて設計されています。(例外は多いですが、都市伝説ではありません。)
入口から左まわりのレイアウトは、右利きの人が左手にカゴを持ち、右手で商品(通路右側の棚)を取る際にスムーズに買い物できる=購買行動を分析した戦略です。左まわりは回遊性を高め、お客様と商品のタッチポイントを増すとされています。
③磁石売場
主力商品売場をできるだけまっすぐな主通路でつなぎます。買い物客を売場の奥へと誘導していく「磁石売場」と呼ばれる棚を配置します。
| 区分 | 場所 | 配置される主な商品 |
|---|---|---|
| ①第一磁石 | 主通路路沿い | 生鮮3部門、惣菜、日配 |
| ②第二磁石 | 主通路の突き当り | 旬の青果物、魚、季節感のある惣菜、広告品、お買い得商品 |
| ③第三磁石 | エンド(※)で大量陳列 | 菓子、ラーメン、メニュー提案等関連販売 |
| ④第四磁石 | サブ通路内 | 定番商品の前進立体陳列、スポッターPOP |
※小売店における「エンド」とは、売場の棚列の端(通路に向いた面)に設けられた、来店客の視線を集めて特定商品を強く訴求するための陳列スペースのことです。
④ 分類陳列とセルフサービス
商品は配置がすぐわかるように分類され、表示されています。買い物客は商品を自由に手に取って選ぶことができます。同一カテゴリーの商品を比較検討しながら選べるため、効率的で主体的な購買行動が可能です。
⑤ 生鮮食品のプリパッケージ販売
生鮮(肉、魚)はプリパッケージ(事前包装)され、値段がついています。
必要量を自分で選んで購入できるほか、衛生管理や作業効率の面でも合理的な販売方法です。
⑥ 棚札による価格表示
商品の陳列場所には棚札がついており、値段が分かるようになっています。
売場で価格や規格を即時に比較できるため、特売や値引きといった価格訴求を分かりやすく伝え、購買判断を促す役割も担っています。
⑦ POPによる商品情報提供
商品の必要な情報はPOPにより、店員がいなくても分かるようになっています。棚札による価格表示に加えて、特徴や用途・調理方法などを補足することで、購買判断を後押しする役割も担っています。
⑧ 集中レジ方式
会計は集中レジで一括精算します。精算位置を出口側に集約することで店内を連続的に回遊でき、買い回りしやすい動線計画が可能になっています。
⑨サービスカウンター
レジ付近に設置されているサービスカウンターは、総合的な接客サービス提供の場です。
売場案内、クレーム処理、返品処理、贈答品包装、配送承り、金券販売、
拾得物対応から迷子対応に至るまで、集中レジでは対応しきれない接客業務を担います。
性格バランス
A:ショートタイムショッピング ⇔ ロングタイムショッピング
B:ワンウェイコントロール ⇔ 回遊性
C:手厚い接客 ⇔ セルフサービス傾向
D:中食指向 ⇔ 内食指向
内食は家庭で食材を調理して食べること。
中食は外で調理された食品を持ち帰って食べること。
E:小売吸引力 (商圏狭い ⇔ 広い)
考察
スーパーマーケット(SM)が他業態(CVS、DGS、HS)に対して持つ最大の差別化要因は、コールドチェーン(低温物流)にあると言ってよいでしょう。
コールドチェーンとは、生鮮食品や冷凍食品・惣菜製造の食材を適切な温度帯で、
生産地からプロセスセンターやセントラルキッチンを経由して店舗まで届ける輸送・加工・保管の流通管理の技術のことです。
SMでは、パーシャルフリージング(※1)を含む4温度帯一括配送(※2)・トレサビリティ管理・HACCP(※3)対応などの仕組みにおいて、設備やシステム・人的オペレーションの高いノウハウが他業態より一歩先行していると感じます。
このことは店舗のレイアウトからも窺うことができます。
例えば 鮮魚・精肉・惣菜・日配食品においては、取引にかかって鮮度保持が損なわれないように、取引時間を各取引場(荷受け場・作業場・売場)の冷凍冷蔵庫の距離を短くして対応しています。
また、冷蔵庫の設置場所は厨房の排水溝までのドレン排水をしやすくするため、そして定期的な清掃を冷蔵庫の背面から行えて、尚且つお客様の買物の邪魔にならないように、なるべく売場壁面に設置しています。
※1: 「パーシャルフリージング」とは、食材を「微凍結(半分凍った)状態」で保存する機能です。完全に凍らせないため、冷凍より細胞が壊れにくく、鮮度が長持ちします。 凍っていながらも「切る」「はがす」が可能で、解凍不要でそのまま料理に使えるメリットがあります。
※2: 「4温度帯物流」とは、物流の保管・配送において「冷凍」「冷蔵」「定温」「常温」の4つの温度帯で商品を管理する手法です。
※3: 「HACCP(ハサップ)」とは、食品を扱う際に発生する可能性のある危害(ハザード)を分析し、未然に防ぐための管理手法です。
小売の勘ドコロ vol.004 :
『回遊性』
売場づくりでは「回遊性」も重要なポイントです。店内を一方向に進むだけでなく、複数の通路や売場を自然に行き来できる構造にすることで、来店客の視界に入る商品を増やすことができます。とくに目的買い以外の商品との接点が増えることで、追加購買につながる可能性も高まります。回遊性の高い売場は、来店客の滞在時間を延ばし、店舗全体の購買機会を広げる効果があります。
本シリーズ最後となる次回は、
SC(ショッピングセンター)業態の店舗レイアウトについて見ていきます。(近日公開予定)
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『コンビニエンスストア(CVS)編』 -はじめに- リアル小売店において
利益を最大化するノウハウのひとつは、「チェーンストア展開」であることは
異論がないと思います。チェーンストアは店舗…

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