【連載小説】AI業務活用 まずは使ってみよう編『AIと私のはじめて物語』 第6話「AIに“商談リハーサル”を頼んでみたら~ひとりロールプレイが気にならなくなる日~」

この記事は連載小説の一部です。
最初から読む
登場人物紹介
資料が完成した翌日。
私は商談の予定を見ながら、ひとつだけ残っている課題に気付いた。
商談のリハーサルだ。
想定問答は出来ている。でも、それをちゃんと話せるかはまた別の話。
どう贔屓目に見ても本番に弱いタイプの私。
決戦に臨む前は、出来る限り安心していたい。
(でもこれ、ひとりでやるとめちゃくちゃ恥ずかしいんだよな…
会議室で独り言してる人みたいになるし…まあ実際そうなんだけど。)
思わずタスクバーの派手な色使いのアイコンにマウスを向ける。
変な話だけど、迷った時には、迷わずCopilotを開くのがいつの間にか習慣になっている。
(今までひとりで堂々巡りしてるだけだったのを思うと、だいぶマシになったかもな…)
そんなことを考えていると、画面の向こうから
“おはようございます、M崎さん。今日も資料づくりですか?”
みたいな雰囲気を勝手に感じ取ってしまう。
(いや、AIに挨拶されたわけじゃないんだけど…なんか最近、こいつに人格を感じるんだよね。)
気のせいだろうか。
とりあえず今はリハーサルだ。
「商談のリハーサル相手になって」
ぽち。
ほとんど間を置かず、AIが返してきた。
“承知しました。私はお客様役を担当します。率直な質問から始めますね。”
『要するにデジタルフローって何が便利なの?』
(……え、急に“お客様役”になったんだけど?
なんか声が聞こえる気がするんだけど?…私、疲れてる?)
お客様に扮したAIは続けて質問を投げてくる。
『うちの現場、正直忙しいんだけど、導入して本当にラクになるの?』
(あ、これ絶対言われるやつ。ていうか、AIのくせに演技うまくない?)
私は恐る恐る答える。
「えっと…進行状況がひと目で分かるので…」
“お客様”は間髪入れずに返してくる。
『なるほど。じゃあ、急ぎの案件はどう扱うの?優先順位の管理とかできるの?』
(ちょっと待って。このAI、完全に“商談で詰めてくるお客様”そのものじゃん。
なんでそんなリアルなの?)
戦慄しながらも、調子に乗って私は言ってみた。
「もっと“クセ強めのお客様”でお願い」
『あのねぇ、ウチの現場そんな簡単じゃないのよ?システム入れたら逆に混乱するんじゃない?』
(クセ強すぎる。完全に現場歴20年のベテランさんじゃん。AI、演技派俳優なの?)
「M崎さん、なんか…AIと商談してません?」
しまった。
ベテランさんへの対応に夢中で、見られていることに気付かなかった。
でもまあいいか、P嶋だし。
「いや…なんか…AIが…お客様役になりきってくるんだけど…」
P嶋はくすっと笑って、どこか鼻につく生暖かい視線を向けながら言う。
「そうなんですよ。AIって“自分の脳内にいる想定顧客”を、そのままキャラ化してくれるんです」
(キャラ化…確かに、さっきのAIは完全に“クセ強お客様”だった。)
AIとのやり取りを続けているうちに、私は気付いた。
(……これ、もう商談の練習終わってるじゃん。)
しかも、ひとりでやるより恥ずかしくない。
むしろ楽しい。
本当のお客様を相手に「やっぱ今のなしで!」とは行かないけど、
AIが相手なら、どんな受け答えをしてもやり直せる。
何度でも試せるし、改善策まで教えてくれたりする。
商談はもう目の前。
そう考えるほどに募る不安が、少し軽くなった気がした。
(AIって、“恥ずかしさゼロで練習できる最高の相棒”なのかもしれない。)
つづく
次回:第7話『AIに“商談後のフォロー文”を頼んでみたら ~仕事が終わるスピードが倍になる日~』
続きを読む
アイキャチ画像_2-100-300x170.jpg)






