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小売業 新人社員&指導者の必修科目!発注業務の基本と実践 第2回『発注業務の全体像と売場管理』

発注業務記事第2回アイキャッチ

※本記事は全4回構成の連載の一部です
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※本シリーズは、株式会社アール・アイ・シー刊
「食品商業 2026年4月号」掲載の
弊社執筆記事をもとに再編集したものです。

発注業務の全体像を知る

小売の発注業務とは、自社の店舗内において販売する商品を、継続して欠品させることなく仕入れるための重要な業務です。顧客ニーズのある商品を適切に仕入れ、販売することが売場の維持と業績の向上につながります。

今回は、発注に関わる全体の連携イメージ図から確認していきます。
発注業務は、競合状況や天候・気温、地域のイベント、季節催事、特売情報など、さまざまな要因の影響を受けるため、それらを踏まえた判断が求められます。実際の作業自体は一見シンプルに見えますが、適切に行うためには経験と知識の蓄積が不可欠です。時間に追われる中で惰性的に処理するのではなく、売場の状況や需要を踏まえた判断を意識することが重要です。売場内の減少した在庫を補充することだけが発注業務ではありません。

また、発注業務は店舗のみで完結するものではなく、内外の関係機能が連携してはじめて成り立つ業務です。図表③で店舗・本社・仕入先といった各機能がどのように関わり合っているのかを俯瞰し、全体の流れと役割のつながりを押さえていきましょう。

図中で示した①~⑥の各工程が連携し、一連の発注業務が成り立っています。

① …本部で商品マスタ(商品ごとの名称・価格・JANコードなどを管理する基礎データ)を登録します。各種マスタ情報は店舗へ自動連携されます。
② …店舗では担当者が発注を行います。または③の自動発注により発注が実行されます。
③ …自動発注では、販売実績や在庫情報に基づき、発注データが生成されます。
④ …発注データは、仕入先(取引先)に受注データとして連携されます。
⑤ …仕入先企業は受注情報をもとに商品を出荷し、センター(各店舗へ商品を供給する物流拠点)では仕入検収を行います。その後、受領データ(仕入確定データ)が会計システムへ連携されます。
⑥ …店舗では入荷した商品を売場に陳列し、POSレジで売上登録を行います。販売データは自動発注にも連動し、次回の発注へとつながります。

売場の維持管理と発注業務

発注作業に入る前には、「売場の在庫補充」と「バックヤード在庫の確認」を行います。これらは部門を問わず共通して必要となる基本業務です。
発注業務は、売場の状態と在庫状況を正しく把握したうえで行うことが前提となります。主なポイントは以下の通りです。

  • 売場の品揃えを正しく管理する
    店舗の売場は、部門単位で管理されています。本部で作成された棚割指示に基づき、ゴンドラの位置・段・列・フェイス数(※)などを維持し、売場の品揃えを正しく保つことが重要です(品切れ時に棚札を外したり、隣の商品で埋めるといった運用は行いません)。

  • 現在の在庫の実態を把握する
    当日の開店前在庫数を確認し、実在庫を正確に把握します。
    とりわけ生鮮部門では消費期限管理が重要となるため、見切りシール貼付商品は在庫として扱わず、「0」として計算します。

  • 購買需要を的確に予測する
    過去の販売実績をもとに、今後の販売数量を予測します。通常価格と特売価格での販売数の違いや、特売に伴う事前発注分の入荷予定、曜日別の来店客数などを踏まえて、需要を見極めることが求められます。

  • 適切な発注方式を選択する
    商品の特性や売場状況に応じて、適切な発注方法を選択します。発注方式には複数の種類があり、それぞれの特性を理解したうえで使い分けることが重要です。

フェイス数とは、売場で商品が正面を向いて陳列されている数(横方向に並んで見える数)のことを指します。フェイス数を増やすことで商品の視認性が高まり、売上にも影響するため、棚割において重要な要素の一つです。

部門ごとの発注方式

発注業務は部門ごとに取り扱う商品特性が異なるため、その発注方法や考え方にも違いがあります。ここでは主な部門ごとの特徴を整理します。

生鮮および日配部門では、商品の鮮度や消費期限の制約が大きいため、「週間発注(発注予測数の事前連絡)」や「前日(前々日)の確定発注」といった形で、比較的短いサイクルで発注が行われます。また、生鮮部門の市場仕入れ商品などの「相場品」については、生鮮専用のEDI発注システムを活用し、取引先からの商品提案をもとに店舗で必要数量を判断して発注するケースも多く見られます。

デリカ部門では、販売用の商品コードによる発注に加え、製造に使用する原材料の発注が必要となる点が特徴です。売場で販売する商品と、その原材料の双方を管理する必要があり、他部門とは異なる発注の考え方が求められます。

一方、グロサリーや日用品・消耗品・雑貨などの部門では、比較的保存性の高い商品が中心となるため、「売場での穴あき発注」を基本とした在庫管理型の発注が主流です。欠品を防ぎつつ、過剰在庫を持たないよう調整することが重要となります。また、近年は自動発注も多く採用されています。

自動発注システム

人手による発注方法に加え、近年は店舗・商品の過去売数データ活用した自動発注の導入が進んでいます。需要予測方式やAI予測方式など、多様な自動化手段を採用する企業も増えてきています。
一方で、自動発注機能の活用が進むほど、社員が自部門の商品を自ら判断して発注する機会は減少します。そのため、基礎知識や経験を補うための学習を別途行うことが重要です。

種類概要適用される商品
売数型
(セルワン・バイワン)
売れた点数を補充発注ドライ食品、消耗品
在庫型
(発注点方式)
商品毎に設定されている最小在庫数を
下回ると、上限設定在庫数まで補充
ドライ食品、
実用衣料、日用品
需要予測型
AI予測方式
過去の販売データに基づいて、
AIによる需要予測を加味し発注数を決定
ドライ食品、
日配食品、日用品
PI値予測型1000人あたりの購買数データと、
店舗での来店客数予測を掛けて
週間発注を行い、直前に確定発注
生鮮・日配食品
▲図表:自動発注システムの型

自動発注を適切に機能させるためには、POSレジでの販売登録を正確に行い、発注や在庫情報も単品単位で管理されていることが前提となります。

また、自動発注は販売実績や在庫情報に基づいて算出されますが、すべての状況を完全に反映できるわけではありません。そのため、店舗では定期的な在庫修正を行い、在庫情報を実態に近づけておく必要があります(※売数型を除く)。

ここまで、発注業務に関わる全体の連携イメージと、部門ごとの発注の特徴、代表的な発注方式について整理してきました。これらのことを踏まえて実際に発注業務に臨むことで、商品特性や売場状況に応じた適切な判断や対応が求められる業務であることを、より具体的に実感できるのではないでしょうか。

次回は、発注機器・ツールと部門別のより詳細な発注特性について解説します
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