自動発注を導入する上で、まず押さえておくべきポイントは?部門特性で選ぶ 自動発注の基本と実践 第1回「前提知識としての発注業務」

※本記事は全4回構成の連載の一部です
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※本シリーズは、株式会社アール・アイ・シー刊
「食品商業 2026年6月号」掲載の
弊社執筆記事をもとに再編集したものです。

はじめに:自動発注について学ぶ前に
近年、多くの小売業で「自動発注」の活用が進んでいます。
人員不足解消や業務効率化の観点から、今や欠かせない仕組みとなっている店舗も少なくありません。一方で、自動発注は単独で機能するものではなく、発注業務の基本的な考え方や、売場運営の仕組みを土台として成り立っています。
そこで第1回では、自動発注の仕組みや運用について解説する前に、まず発注業務の基本を改めて整理します。すでに発注業務の経験がある方はおさらいとして、これから自動発注について学びたい方は、基礎知識としてお役立てください。
発注数決定の考え方(担当者が行う発注の場合)
食品スーパーにおける 「日配」・「グロサリー」・「日用品・雑貨」等の発注業務は、52週販売計画や、次週の販促計画、棚割計画に基づき、在庫状況を確認しながら行われます。発注作業にあたっては、「HHT」や「PDA」、もしくは携帯電話等の機器が使用されるほか、日配部門の場合は、「GOT端末」や「タブレット端末」、「PDA端末」が主に使用されます。
■商品マスタ、棚割りマスタ等の各種マスタと発注条件の関係
発注業務は担当者の経験や勘だけで行われるものではありません。システム上で管理されているさまざまな情報をもとに発注数量が決定されます。
本社の商品部が管理する各種マスタの中で、特に「商品マスタ」と「棚割マスタ」等が大きくかかわってきます。
マスタとして登録されている情報のうち、商品階層(大分類、中分類、小分類、単品〔JANコード〕)・商品名称・カナ名称・発注単位数・発注曜日・納品リードタイム(L/T)・納品曜日・原価・売価取り扱い店舗などの多くの項目が発注に影響します。
ここからは、実務に則した発注数量決定の過程を、事例を用いながら考えたいと思います。
■発注数量に関係する諸条件を考慮に入れる
今回は、グロサリーの発注数について見ていきます。
発注数量は、発注曜日や納品曜日、リードタイム、販促計画など、さまざまな要素が絡み合いながら決まっていきます。数量決定の考え方について整理するために、先に前提となるいくつかの点を確認しておきましょう。
- 発注数として入力するのは原則「発注単位数の倍数」です(今回の例では、「6個」の整数倍になります)。
- 今回例に挙げる商品は、すでに定番として販売しているもので、商品マスタと棚割は登録済みとします。
- 通常時の販売売価(定番売価・棚札の表示売価)は228円ですが、
9日週の販促時(12日~15日)には198円での特売が計画されています。 - 発注曜日は、「月曜日・水曜日・金曜日」、納品曜日は、「火曜日・木曜日・土曜日」です。日曜日は休業(発注不可日)で、平日の祝祭日は、平日扱いとします。言い換えると、発注・納品のスケジュール条件は、「1週間に3回発注、3回納品」で、発注・納品のリードタイム(L/T)は<2>(発注日の翌日納品)ということになります。
- 納品には物流センターを利用し、納品日の当日中に店舗に配送されます。データ上の入荷在庫数は納品翌日の開店時に在庫として反映(売数は閉店時に確定した数量で計上)されます。
これらの条件を踏まえた上で、実際の発注数量がどのように決定されるのか、具体例を見ていきます。
▼図表1:担当者が行う場合の発注のロジック(グロサリー部門を想定)

■仕入・販売を実績を確認し、発注数を検証する
2日(月曜)~8日(日曜)は、特売のない週だったため販売数は標準的で「40個」でした。
販売計画では、翌週の9日~15日のうち、12日~15日に特売を行う予定です。
月曜日から水曜日までは前週と同程度の販売を見込み、木曜日以降は特売による販売増加を想定しています。
また、特売用の在庫として、2月2日にあらかじめ「72個」を発注しています。
9日朝の在庫は23個とやや多めであったため、通常発注は最小単位の「6個」としました(※特売分の在庫も同じく10日(火曜)に入荷予定であることも踏まえると、発注しなくても問題ないように思えますが、念のため6個を追加しています)。
実績としては、販促週の累計で「85個」、特売期間中は「73個」販売しました。
このようにリードタイムを基準とし、当週の販売数を予測しながら発注数量を決定していくほか、特売時には発注数量を調整することで欠品や過剰在庫を防ぐことも重要です。今回の事例では、事前に特売用在庫を確保していたため、11日と13日の発注を見送ることで、在庫の調整を行っています。
自動発注が求められる理由
ここまで、(担当者が行う)発注業務では様々な条件を総合的に判断しながら発注数量を決定していくということを改めて整理しました。
しかし、限られた時間の中で、取り扱う全ての商品に対してこのような繊細な判断を毎回行うことは決して容易ではありません。特に日配部門では、豆腐や油揚げ、牛乳、卵、乳製品などの売れ筋商品を日々発注しながら、消費期限の管理も並行して行う必要があります。また、発注精度が担当者の経験や知識に大きく依存すると、人員異動や欠員が発生した際に売場運営へ影響を及ぼす可能性もあります。
そこで登場したのが「自動発注」という仕組みです。発注業務の効率化・標準化や担当者負担の軽減を目的として、食品スーパー等の現場で普及が進んでいます。
では、自動発注を利用する際には、具体的にどのようにして数量が決定されていくのでしょうか。
第2回からは、自動発注の主要な4つの方式の概要と、それぞれの実践例について詳しく見ていきます
(※近日公開予定)。





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