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維持できる現場を作るには?売場とバックヤードの棚割 第1回「棚割の基本的な考え方と4つの効果」

売場とBYの棚割第1回 アイキャッチ

※本記事は全4回構成の連載の一部です
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※本シリーズは、株式会社アール・アイ・シー刊
「食品商業 2026年5月号」掲載の
弊社執筆記事をもとに再編集したものです。

売場とBYの棚割 第1回ヘッダー

はじめに

売場づくりにおいて「棚割」は基本中の基本です。
しかし現場では、その重要性を理解していても、日々の業務に追われる中で維持が難しいという声は少なくありません。本シリーズでは、あるべき棚割を維持するための仕組みという観点で、“従業員の作業”として棚割りを捉え直します。
そのうえで、無理なく継続できる仕組みや、日々の業務に落とし込むための考え方を整理していきます。より効率的で、整理された売場づくりへのヒントを見つけていただければ幸いです。

※本シリーズの対象は、グロサリー・日用雑貨などの非冷商品(賞味期限・販売期限が長い商品)です。

静的視点と動的視点

棚割を現場で維持していくためには、出来上がった売場だけでなく、そこに至るまでの作業の流れも含めて捉える必要があります。

そこで、まず店内における物の流れを整理し、「静的」と「動的」という2つの視点で見ていきます。
「静的に捉える」とは、ある一時点の断面や、固定された状態を構造的に理解することです。「動的に捉える」とは、時間の推移や、つながりを含めて理解することです。少し観念的な話なので、実際の現場での業務に当てはめて考えてみましょう。

▲図表1:店内全体における商品管理の業務フロー

上の図に照らして、「静的」又は「動的」という視点で日々の業務を捉えると、
「B:バックヤードの棚割」「C:売場の棚割」といった、ある一時点の配置や状態を切り取るのが静的な捉え方です。
一方で、①入荷 → ②バックヤード集品 → ③補充 → ④バックヤード在庫保管 → ⑤ゴミ回収といった、一連の作業の流れで捉えるのが動的な捉え方といえます。

棚割の運用においては、この「静的な設計」と「動的な作業」を正しく捉え、現場で無理なく機能する形に落とし込んでいくことが重要になります。

本シリーズでは、まず静的な観点から棚割を整理し、そのうえで動的な側面との関係にも触れていきます。
(※なお、動的視点については今後の記事で別途「店内物流」として詳しく扱っていく予定です。)

「固定ロケーション」と「フリーロケーション」

棚割を静的に捉える場合、その構造を理解するうえで重要になるのが、「どこに・どのように商品を配置するか」という考え方です。その代表的な整理方法が「固定ロケーション」と「フリーロケーション」です。

「棚割」は、商品管理を適切に行うためのプラットフォーム(基盤・環境・仕組み)であり、売場とバックヤードの双方に存在します。

  • 売場の棚割(固定ロケーション)
    売場の棚割およびレイアウトは、本部(企画)による立地・マーケット分析、商品部によるABC-Z分析(※1)や弾性値(※2)、さらに取引先との商談を踏まえて構築されます。企業によっては現場主体で調整できるケースもありますが、売場主任の判断だけで全体を大きく変更することは難しいでしょう。
    このような特性から、売場の棚割は「固定ロケーション」であるといえます。

    固定ロケーションでは、同一商品は常に同じ場所(いわば商品の“戸籍”)に配置されます。
    この方式のメリットは、お客様にとっては商品が見つけやすく、短時間で比較・選択できること、また従業員にとっては管理がしやすいことにあります。
    一方で、在庫が減った箇所を他の商品で埋めるといった補充は行わないため、よく売れる商品は品切れにより棚が空くことがあります。この状態は来店客の印象を考えると好ましくないと捉えられがちです。
    しかし、空いた棚は単なるデメリットではありません。補充や発注の必要性を示すサインであり、どの商品がどのタイミングで欠品するのかという情報は、売数予測の仮説検証にもつながります。現在の状態を起点として捉えることで、次の改善策を見出すことができます。
▲図表2:商品欠品・品薄への対応フロー
  • バックヤードの棚割(フリーロケーション)
    バックヤードでは什器レイアウトや在庫の配置を現場(主任)の判断で柔軟に決めることができます。このように商品の置き場所を固定せず、状況に応じて変更する方法を「フリーロケーション」といいます。

    フリーロケーションのメリットは、空いているスペースを有効活用できる点にあります。在庫を詰めて配置したり、縦方向に積み上げることで、限られたスペースでも効率的な運用が可能になります。
    また、売場の棚割はシステム上で商品と配置が紐づけられて管理されているのに対し、バックヤードの配置は必ずしもシステム管理されていません。そのため、現場の判断で柔軟にレイアウトや在庫配置を構築できるという特徴があります。(なお、売場什器の上部などを在庫置場として活用するケースもありますが、本稿ではこれもバックヤードとして扱います。)
メリット①担当者の判断で、タイムリーかつ柔軟に配置を変更できる
②入荷状況に応じた配置が可能で、保管効率が高い
③特売などで在庫が大きく変動する商品の保管に適している 
デメリット①保管効率のみを優先すると、ピッキング作業の動線が悪化し効率が低下する
②置き場所のルールがないと在庫の所在が把握できなくなり、ヘドロ在庫化(※3)するリスクがある
▲図表3:バックヤードの棚割=フリーロケーションのメリット・デメリット

※1 ABC-Z分析とは、商品の売れ行き(ABC)と需要の安定性(XYZ)で分類する手法です。
「在庫をどれくらい持つか、どのくらいの頻度で補充するか」の目安になります。

※2 弾性値とは、棚のどの位置に何フェイス置くかを決めるための指標です。
「どこに置くとどれだけ売れるか」という考え方をもとに棚割に反映されます。

※3 ヘドロ在庫とは、適切な管理が行われないまま店舗に滞留している在庫のことです。
発注精度の悪化や欠品・過剰在庫を招くほか、保管スペースや作業工数の無駄につながり、費用対効果を下げる要因となります。

従業員から見た「棚割管理の4大効果」

棚割は売場づくりの一要素に過ぎないようにも思えるかもしれませんが、長期的に考えると、日々のスムーズな店舗運営を支える基盤ともいえます。
実際に作業を行う従業員の目線で見ると、棚割管理には次のような効果があります。

  • 安全性の確保
    安全はすべてに優先されます。棚割が整理され、配置が明確であることで、無理な動作や不安定な作業が減少します。結果として、転倒や落下などのリスクを抑え、安全に作業できる環境が整います。

  • 作業効率の向上
    商品の“住所”が明確になっていることで、習熟度が比較的浅い従業員でも迷わず作業ができるようになります。判断を必要とする他作業に充てられる時間が増え、結果として正確性や生産性が向上します。

  • 補充・発注精度の向上
    棚の状態を見れば在庫の過不足が把握できるため、スピーディかつ適切な補充・発注が可能になります。欠品や過剰在庫を防ぎ、売場の安定運用につながります。

  • 商品ロスの削減
    売場とバックヤードの配置が整理されていることで、在庫滞留や期限切迫などに気づきやすくなります。不測の事態や改善が必要な場合にタイムリーな対応ができるため、廃棄や値引きロスの抑制に寄与します。

このように、棚割を管理することは、店舗運営の質に直結する重要な要素であることが分かります。
また、棚割は「作ること」そのものではなく、「維持し、機能させること」によってその価値が発揮されるという点も意識する必要があります。

次回は「売場の棚割の維持管理」に焦点を当て、その設計がどのような考え方で成り立っているのかを整理していきます。
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