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各方式の効果を最大限に発揮するには? 部門特性で選ぶ自動発注の基本と実践 第4回「自動発注導入における“肝”」

自動発注記事第4回 アイキャッチ

※本記事は全4回構成の連載の一部です
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※本シリーズは、株式会社アール・アイ・シー刊
「食品商業 2026年6月号」掲載の
弊社執筆記事をもとに再編集したものです。

自動発注の導入を成功に導くために

ここまで、自動発注の代表的な4つの方式について見てきました。しかし、どの方式にも適した商品部門や運用方法があり、「この方式なら万能」ということではありません。

自動発注を導入する際は、部門ごとの商品特性や販売傾向などを踏まえ、「どの方式が自部門にとって最適なのか」という視点で検討することが不可欠です。

また、自動発注の対象商品を「棚割」や「商品マスタ区分」などで適切に限定することも、安定した運用には重要となってきます。

ここからは、自動発注それぞれの方式を導入・運用する上で押さえておきたいポイントについて見ていきます。

売数型(セルワンバイワン方式)の「肝」

売数型(セルワンバイワン方式)は、商品回転率が高く、比較的消費期限の長い商品群で効果を発揮しやすい方式です。また、仕入数を当日に反映させる必要がないことなどから、導入のハードルが比較的低いことも特徴です。

一方で、あくまでも「売数だけを基準に発注する」という点には注意が必要です。

例えば、販売促進で特売用大量の商品を事前に納品し、その結果として通常の5倍売れた場合、次回の発注では「5倍売れた数量」をそのまま発注することになります。店舗内の在庫数は発注条件に入ってない為、増加した分を含めて、在庫数を維持する発注が続けられ、在庫過多につながってしまいます。

このような過剰発注のリスクに備えて、「特売発注や本部からの一括導入発注などで通常以上の数量が入荷した場合は、その数量を累積売数から仮想的に差し引く(マイナス計上する)」という対策を取ることができます。これにより、特売で積み増した在庫が消化されるまで累積売数が発注基準に達しないよう制御し、不要な追加発注を防ぎます。

自動発注記事第4回図表1

在庫型(発注点方式)の「肝」

在庫型(発注点方式)は、「発注点在庫」と「最大在庫数」の範囲内で発注数量を決定するため、通常時の在庫管理においては安定性の高い方式といえます。

一方で、長期間にわたる販売促進(月間特売や数か月に及ぶお買い得企画など)では、通常時と同じ在庫設定では品切れが発生してしまいます。そのため、販促期間中は発注点在庫数や最大在庫数を引き上げるなど、商品特性や販売計画に応じた設定変更が必要です。

反対に、販促終了後は過剰在庫を防ぐため、発注点在庫数・最大在庫数を通常値へ戻す必要があります。

日々の作業負担を大きく削減することができる自動発注システムですが、発注精度の高さを維持するには、販売状況や販促施策の変化に合わせて設定を定期的に見直すことが重要になってきます。

PI値型発注の「肝」

PI値型発注では、計算条件や発注基準を自社の運用に合わせて細かく設計することが重要です。特に、できるだけ担当者の負担が増えない運用となるよう、事前に発注ルールを十分に検討しておく必要があります。

PI値型はEOB発注を前提とするため、「週間発注」と「通常確定発注」への対応が求められます。発注対象商品は本部の棚割や品揃え登録を基準としつつ、店舗での柔軟な修正を両立できる設計が望ましいでしょう。

また、システムを導入する際には、発注ロジックに関する妥当性だけでなく、視認性の高い画面や直感的に操作できるインターフェースなど、実際に利用する担当者の操作性まで含めて検討することも重要です。

このように、PI値型発注ではシステムの機能だけでなく、現場での業務フローに適合した運用設計を行うことが成功のポイントとなります。

自動発注記事第4回 図表3

AI需要予測型の「肝」

AI需要予測型では、担当者が売場で販売予測や安全在庫を考慮しながら行っていた発注業務を、AIが代わりに過去の販売実績や天候、販促計画などのデータをもとに予測し、指定の発注日に、各商品の発注単位に基づいた数量を起案します。

担当者は特売商品や定番外商品の調整に注力することができるようになり、発注精度の向上と作業時間の大幅な削減が期待できます。

大前提として、売場の棚割や品揃えとシステム上の情報が一致していることに加えて、発注・仕入・販売などのデータが商品単位で正確に管理・計上されているという条件下においては、非常に高い予測精度を実現することができる方式です。

また導入にあたっては、システム全体の連携や店舗端末の整備に加え、本部・店舗双方の運用ルールを整理することも重要です。

近年では、クラウド型サービスを活用して一部店舗・部門から段階的に導入し、効果を検証した上で全店展開する事例も増えています。

自動発注記事第4回図表4

おわりに:運用と定着を見据えて

今回は、発注業務の基本的な考え方から、自動発注の代表的な方式、それぞれの導入・運用時のポイントまで解説してきました。

自動発注を導入する際には、「こんなはずではなかった」を防ぐためにも、自社の現行業務と新しいシステムの運用について十分に比較・検討することが重要です。要件定義フェーズでは、標準機能で対応できる部分(Fit)と、運用変更や追加対応が必要となる部分(Gap)を整理し、その乖離どのように埋めていくかを検討する必要があります。

また、本部だけで導入を進めるのではなく、実際にシステムを利用する店舗担当者を含め、広く意見を集約しながら運用方法を検討することで、導入後の定着や効果をより高めることができます。

今後、システムの新規導入や改善を検討される際に、本シリーズが一助となりましたら幸いです。

本シリーズ全体の内容をまとめて確認したい方は、
下記リンクより雑誌掲載版の記事全文をご覧いただけますので、
あわせてご活用ください。

『食品商業』2026年6月号掲載版記事 全文はこちら(PDF形式 3MB)
※こちらのPDF内の紙面画像は、アール・アイ・シー社の許諾の下で掲載しています。
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