見切りシール3つの方式と、ヒューマンエラーとの関連性は? 見切りシールの研究 第2回「見切りシールの種類と運用方法」

※本記事は全4回構成の連載の一部です
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※本シリーズは、株式会社アール・アイ・シー刊
「食品商業 2026年7月号」掲載の
弊社執筆記事をもとに再編集したものです。
見切りシールの種類

前回は、見切りの基本的な考え方や、どのような場面で見切りシールが使われるのかについて解説しました。
一口に「見切りシール」といっても、売場担当者の視点で、「アナログ方式シール」「バーコード方式シール」「画像認識方式シール」の3つに分けることができます。方式が違うと、その運用や管理方法も大きく変わります。それぞれのシールのポイントについて詳しく見ていきましょう。
アナログ方式シール
アナログ方式シールは、来店客の目を引くアイキャッチ部分のみで構成された、シンプルな見切りシールです。シールは値下げ種(○%引き、○円引きなど、値下げ内容を表す表示のこと)ごとにあらかじめ印刷され、1枚の台紙に複数枚まとめられています。
▼図表1:アナログ方式シールの例

レジでは、担当者がシールの表示内容を目視で確認し、手動で値引き処理を行います。シールを貼るだけで対象商品の売価が変わるため、現金と同様に厳重な管理が必要です。使用しないシールは金庫などで保管し、入出庫を台帳で管理するとともに、定期的な棚卸も行う必要があります。
■売場担当者の作業
▼図表2:アナログ方式シールのシート

売場担当者は、必要なシールを台紙から剥がして商品に貼り付けていきます。
以下は、シール貼付作業の一連の流れを、作業の前後関係を示すPERT図でまとめたものです。
▼図表3:PERT図(アナログ方式シール利用時の売場担当者の作業)

※「○」は作業の節目(ポイント)を、 「→」は作業内容を表しています。)
また、「主任」は、売場責任者を指します。企業によって呼称が異なる場合があります。
■レジ担当者の作業
レジ担当者は、JANコードを読み取る際に商品をよく確認し、見切りシールが貼られている場合は、レジのキー操作(手入力)で値引き処理を行います。シールを見落とすと、表示価格より高い金額で販売してしまう「過大請求」につながってしまいます。
アナログ方式は担当者の確認や操作に依存する部分が大きく、ヒューマンエラーが発生しやすいことが課題の一つです。レジ作業でアナログ方式で売価アンマッチが発生する主な原因には、次の3つが挙げられます。
・シール見落とし
レジ担当者が見切りシールを見落とし、値引き処理自体が行われないケースです。
・シール見間違え
誤った金額の値引き処理を行うケース。例えば、パッケージの「10%増量」を「10%引き」と見間違えるなど、表示の読み違いによって発生します。

・レジ入力ミス
POSレジでの入力作業時に、テンキーやボタンを押し間違えてしまうケースです。
▼図表5:レジ登録時に売価アンマッチが発生する流れ(アナログ方式シール)

この他にも、本部ではなく店舗でPLU登録を行う運用の場合に、売場担当者がPLUの売価情報を誤って登録していて、レジで誤った価格が適用されるというケースもあります。
ヒューマンエラーは、どれだけ注意・集中していても、人が行う作業であれば完全に防ぐことは難しいものです。そのため近年では、人的な確認に頼りすぎない運用を目指して、バーコード方式や画像認識方式へシフトしていく企業・店舗が増えています。
バーコード方式シール
バーコード方式シールは、来店客向けのアイキャッチ部分と、レジで読み取るバーコード(Code128※)で構成されています。シールはバーコードラベラーで作成し、レジではスキャナーがバーコードを読み取ることで、自動的に値引き処理が行われます。

※Code128とは、一次元バーコードの一種で、値引きシールのほか冷凍・チルド食品や医療業界などに幅広い場面で利用されています。数字だけでなく英字や記号、制御文字にも対応しているため、JANコードよりも多くの情報を格納できるのが特徴です。
シールは、商品ごとのJANコードをもとに1枚ずつ発行されます。そのため、他の商品へ流用されるリスクが低く、アナログ方式のように金銭に準じた厳重な管理は必要ありません。通常の販促資材として扱えるため、管理負担を軽減できる点も特長です。
■売場担当者の作業

売場担当者は、バーコードラベラーに値下げ種を入力した後、商品のJANコードを読み取り、商品ごとの見切りシールを発行します。発行したシールを商品に貼り付けた後は、元のJANコードの上に目隠しシールを貼り、レジで通常のJANコードが読み取られないようにします。
▼図表8:バーコード方式利用時の売場担当者の作業

■レジ担当者による作業
レジ担当者は、見切りシールのバーコードをスキャンすることで、自動的に値引き処理を行うことができます。また、通常のJANコードには目隠しシールが貼られているため、誤ってスキャンしようとしても、読み取りエラーとなります。これにより自然と見切りシールのバーコードスキャンに繋がり、過大請求を防ぎます。
アナログ方式では注意力に強く依存していた確認作業を、バーコード方式ではシステムとして補完することで、いわゆる“ポカヨケ”(うっかりミスの防止)の効果を生み出しているのです。
▼図表9:バーコード方式シール利用時のレジ担当者の作業

画像認識方式シール
画像認識方式シールは、来店客のためのアイキャッチ部分(値引き種)と、レジで読み取りを行うための目印シール(◎)部分で構成されています。この2つは必要に応じて切り離すことができ、それぞれに適した場所に貼ることが可能です。

画像認識方式では、レジでカメラに目印シール(◎)とアイキャッチ部分の2つを画像として認識させることで、POS側はシールごとに対応した値引き種を参照し、自動的に値引き処理を行います。
このシールもアナログ方式と同様に、金銭に準じた管理が必要です。
■売場担当者の作業

売場担当者は、見切りシールを台紙から剥がし、商品のJANコード付近に貼り付けます。これはレジ会計の際にJANと一緒に目印シールを読み取ることで、POSレジに「対象商品が見切り商品である」ということを認識させるためです。
ただし、商品パッケージのレイアウトなどによっては、JANコードが裏面に配置されている場合があります。そういった場合に、アイキャッチ部分を来店客の目につく場所(表面)に配置しつつ目印シールを機能させるには、両者を切り離して、それぞれ適切な場所に貼り分ける必要があります。
▼図表12:画像認識方式シール利用時の売場担当者の作業

■レジ担当者の作業
レジ担当者は、商品のJANコードとシールをレジのカメラに認識させます。POSは目印部分を認識すると見切り商品であることを判別し、続いてアイキャッチ部分から値引き種を識別して、自動的に値引き処理を行います。
もし売り場担当者がアイキャッチ部分と目印部分を切り離さないまま貼付を行った場合は、レジ担当者は一回の読み取りで一連の値引き処理を行うことも可能ですが、前述の通り、商品によっては目印シールとは違う場所にアイキャッチシールが張り付けられているものもあります。そのような場合には、レジ担当者は続けてアイキャッチ部分も読み取り、値引き種の情報を登録します。
画像認識方式シールを利用している現場では、万が一、値引き情報が読み取られないまま会計を進めようとした際に、POS端末がレジ担当者に対してアラートを表示する仕組みが導入されています。
これも読み飛ばしによる過大請求を防ぐ「ポカヨケ」の一つです。
▼図表13:画像認識方式シール利用時のレジ担当の作業

ヒューマンエラーと見切りの方式
レジでの会計作業は、人が行うものである以上、どれだけ注意を払っていてもヒューマンエラーを完全になくすことはできません。そこで重要になるのが、「フールプルーフ(ポカヨケ)」です。これは、人がミスをすることを前提に、ミスそのものを起こりにくくしたり、万が一ミスが発生しても重大なトラブルにつながらないよう設計する考え方を指します。
バーコード方式や画像認識方式は、この考え方を取り入れた見切りシステムです。レジ担当者の確認や記憶だけに頼るのではなく、POSが値引き処理の支援や確認を行うことで、過大請求などの売価アンマッチを未然に防ぐ仕組みが組み込まれています。
こうした仕組みは、フルセルフレジを導入し、来店客自身が商品スキャンから会計まで行う店舗においては、さらに重要になります。人的な判断に依存するアナログ方式では運用が複雑になりやすく、会計ミスのリスクも高まるためです。
店舗の規模や運営体制によって導入のハードルは異なりますが、セルフレジの普及や業務効率化が求められる中で、アナログ方式からバーコード方式・画像認識方式への移行は、積極的に検討すべき選択肢といえるでしょう。
次回は、配色や形、フォントなど見切りシールのデザイン面に注目します。
第3回を読む

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