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色、かたち、フォント…購入の決め手になる仕掛けとは? 見切りシールの研究 第3回「見切りシールのデザインと機能性」

※本記事は全4回構成の連載の一部です
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※本シリーズは、株式会社アール・アイ・シー刊
「食品商業 2026年7月号」掲載の
弊社執筆記事をもとに再編集したものです。

目次

見切りシールのアイキャッチデザイン

見切りシールの研究 3回ヘッダー

見切り商品は、販売期間や数量が限られた、いわば“限定販売”の商品です。そのため、「早く買わないとなくなる」と感じてもらえるような、購買意欲を後押しするデザインが求められます。

表示が見づらかったり分かりにくかったりすると、来店客に迷いや不安を与え、購買機会を逃してしまう可能性があります。

的確に訴求するためには、どのような表示が必要とされるのでしょうか?
ここでは、「大きさ・形」「配色」「フォント」といった観点から見切りシールを深掘りしていきましょう。

大きさと形

バーコード方式は、ラベラーで発行するシールの印字内容に制約があるため、大きさや形の自由度が限られます。約20桁のCode128バーコードを印刷するためには、横幅50mmくらいのサイズが限度で、デザインも各社で似通ってしまう傾向があります。

一方で、アナログ方式画像認識方式は、バーコードを配置する必要がないため、大きさや形の自由度が高く、販促ツールとしてのオリジナリティを出しやすいのが特徴です。

■工夫を凝らしたシールデザイン

①爆発型シール
ギザギザの輪郭によって自然と視線が中央へ集まり、値引き率や「半額」といった訴求したい情報を強調できます。

見切りシールの研究 第3回 図表1
▲図表1:爆発型シールの例

②尾ひれ付きシール
糊の付いていない尾ひれ部分が商品から突き出るため、視認性が高く、レジでの見落とし防止にも効果があります。尾ひれ部分が立体感を生み、売場の中でも目立ちやすく、値下げ商品であることを直感的に伝えられます。

▲図表2:尾ひれ付きシールの例

③雲型シール
漫画の吹き出しのような形状で、商品が自らメッセージを発しているような印象を与えます。
親しみやすい雰囲気を演出でき、来店客が商品に注目するきっかけづくりに効果的です。

▲図表3:雲形シールの例

配色

見切りシールの配色は、視認性(離れた場所からでも認識できるか)誘目性(印象に残りやすいか)のほか、印刷コストなどの諸条件も考慮して決定されます。

配色の検討には、カラーコーディネーターによる判断を参考にする場合もあります。

実際に約60社の見切りシールを調査したところ、赤と黄色の組み合わせが最も多く、全体の約7割を占めていました。

これは視認性と誘目性のバランスに優れた配色として、多くの企業で採用されているためと考えられます。

以下では、見切りシールでよく使われる色と、その特徴を紹介します。

  • 赤色
    遠くからでも目立ちやすく、強い訴求力があります。興奮色とも呼ばれ、バーゲンセールなどでも広く用いられています。

  • 黄色
    背景色として使うと文字や図柄が目立ちやすく、視認性・誘目性を高めます。黒との組み合わせは注意喚起に適した配色ですが、危険や警告を連想させることもあるため、用途に応じた工夫が必要です。

  • 青色
    安心感や信頼感を与える色です。赤色との組み合わせも相性がよく、アクセントカラーとしても活用されます。

  • 緑色
    自然や環境配慮を連想させる色です。鮮やかな緑は、新鮮さやみずみずしさを印象付ける効果も期待できます。

  • 白色
    背景色として他の色を引き立てるほか、紙の地色をそのまま活用できるため、印刷コストを抑えやすいというメリットがあります。

フォント(書体)

見切りシールでは、割引率や値引き額を瞬時に伝えることが重要です。そのため、数字を大きく太く表示することで視認性や誘目性を高め、来店客の目に留まりやすくする工夫がされています。

バーコード方式では、ラベラーで印字する都合上、Windowsの標準フォントが使用されることが多く、なかでもゴシック体ポップ体など、太く読みやすい書体が採用されています。

アナログ方式や画像認識方式のシールでは、デザインの自由度を活かし、見切りシール専用のオリジナルフォントを制作・採用している企業もあります。視認性や誘目性をさらに高めるだけでなく、自社らしさを表現するデザインの一つとして活用されています。

▼図表4:手書き風の固有フォントを活用した見切りシールの例

見切りシールの研究第3回 図表4

また、台紙デザインが同じでも、強調したい文字の大きさや配置を変えることで、来店客に伝わる印象も大きく変わります。

▼図表5:文字の大きさや配置による印象の変化

見切りシールの研究 第3回 図表5

食品ロス削減メッセージ表示

近年では、見切りシールに食品ロス削減に関するメッセージを表示する企業も増えています。

図表6&7:食品ロス削減メッセージの例

見切りシールの研究 第3回 図表6

写真にあるように、値下げ商品であることを文面で消費者に伝えるだけでなく、環境への配慮を連想させる緑色を多く取り入れ企業の環境配慮やSDGsへの取り組みを印象付けたり、食品を擬人化したイラストなど、思わず目を留めてしまうデザインによって、共感を促す工夫も見られます。

毎日行われる見切り作業は、単なる値下げ業務ではなく、食品ロスの削減を支える社会的な取り組みとして、その役割があらためて注目されています。

見切りシールの情報設計とセキュリティ機能

値下げ種

第2回でも少し触れましたが、「○%引き」や「○円引き」といった表記、値下げ後の実際の売価を表示するジャストプライスなど、値下げの内容を表す表示のことを「値下げ種」と呼びます

アナログ方式と画像認識方式では、値下げ種ごとにあらかじめシールを印刷・管理する必要があるため、種類が増えるほど資材費や管理の手間も増加します。

対してバーコード方式の場合は、ラベラーで必要な内容を状況に応じて印字できるため、値下げ種を増やしても資材費や管理負担への影響はありません。

▼図表8:3つの「値下げ種」の解説

スクロールできます
値下げ種内容採用率(※1)備考
%値引き「○%引き」が大多数。50%の場合のみ漢字で「半額」とする表現が主流。インバウンド客対応で「▲50%OFF」表現も少数あり。89%「〇割引」という漢字での表記はあまり見られない。不定貫商品(※2)は○%引きが他の値下げ種より公平感があり好まれる。
〇円引き本体からの値引き金額を表示。2%○円引きの場合は「本体価格より」とのコメント必要。
ジャストプライス端数のないキリが良い売価。値下げ後売価の表示は本体+税込を表示することが多い。9%ジャストプライスは最終処分時に使用される傾向。(売価表示は税込売価が国税当局指導で義務化されている。本体売価は任意表示)

※1 この表での「採用率」は、約60社の見切りシールを無作為に調査した結果に基づいています。

※2 不定貫商品とは、同じ商品でも重量や内容量が一定ではなく、販売価格が商品ごとに異なる商品のことです。主に精肉や鮮魚、惣菜など、量り売りや切り分けて販売される商品を指します。

不正防止の機能(タンパカット)

多くの見切りシールには、不正な貼り替えを防ぐための切り込み加工・通称「タンパカット」が施されています(英単語のtamperは「改ざん」を意味します)。シールを剥がそうとすると切り込み部分から破れやすくなるため、そのまま他の商品へ貼り替えるといった不正を防ぐことができます。

▼図表9:タンパカットの例

見切りシールの研究第3回 図表9

ただし、タンパカットを多く入れすぎると貼り付け作業がしにくくなるというデメリットもあります。また、バーコード方式ではラベラー内でジャム(紙詰まり)の原因のにもなり得るため、運用性とのバランスを考慮し、あえて採用しない企業もあります。

見切りシールの貼り方~3つのルール~

①適切な位置に貼る

どれだけ目立つデザインのシールでも、来店客の視界に入りにくい位置に貼ってしまうと十分な効果は発揮できません。見切り商品を早く売り切るためには、値下げ商品であることを最大限アピールできる位置にシールを貼ることが基本です。

▼図表10:適切な見切りシールの適切な位置

見切りシールの研究第3回 図表10

②レジでのヒューマンエラーを未然に防ぐ

レジでの読み間違いや見落としを防ぐために、貼り付け作業の時点で対策を講じることも重要です。

バーコード方式では、元のJANコードを目隠しシールで覆い、レジで誤って通常価格での読み取りにならないようにします。これにより、値引きバーコードのスキャンへ自然に誘導し、過大請求を防止できます。

また、目隠しシールを素早く確実に貼れるよう、シールにミシン目を入れ、簡単に切り離せる構造を採用している企業も多く見られます。

▲図表11:JANコードへの目隠しシール貼付
見切りシールの研究 第3回 図表13
▲図表12:目隠しシールを簡単に作れる工夫

画像認識方式では、JANコードの近くに目印シールを貼り付けます。POSは目印シールを認識することで値引き対象商品であることを判断し、値引き情報の読み取り漏れがあればレジ担当者へアラートを表示します。そのため、値引き処理を忘れたまま会計が進むのを防ぐことができます。

▲図表13:値引き種がわかるアイキャチ部分とJAN付近の目印シール(画像認識方式)

③法律を守る

見切りシールは、来店客が商品を選ぶ際に必要となる情報を隠さないように貼り付けることが重要です。食品表示法や自治体のユニットプライシングに関するルールを遵守し、消費期限・賞味期限・加工日・加工者・内容量・原材料・ユニットプライスなどの表示が隠れないよう配慮します。

▲図表14:ユニットプライスなど必要な情報を隠してしまわないよう注意する

ここまで見てきたように、見切りシールは、売上向上だけでなく、食品ロス削減やヒューマンエラー防止、お客様への正確な情報提供など、多くの役割を担っています。

販促や売り切りだけでなく、来店客が安心して商品を購入するために必要な表示の妨げとならないよう配慮することも、店舗全体の信頼につながります。

小さなシール一枚にも、売り場づくりを支えるさまざまな工夫が詰まっているのです。

次回は、見切り売価の決定ルールや、見切りの「新しい潮流」について解説します
(※近日公開予定)。

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