それぞれの方式について知り、活用につなげる。部門特性で選ぶ自動発注の基本と実践 第2回「セルワンバイワン方式と発注点方式」

※本記事は全4回構成の連載の一部です
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※本シリーズは、株式会社アール・アイ・シー刊
「食品商業 2026年6月号」掲載の
弊社執筆記事をもとに再編集したものです。

自動発注の方式について深掘りする
第1回では、担当者が販売計画や在庫状況を踏まえて発注数量を決定する考え方について説明しました。人が発注を行う場合、販売数の少ない週前半は発注数量を抑え、週末の販売増加に合わせて在庫を積み増すなど、状況に応じて臨機応変な調整が行われます。
一方、自動発注では、こうした考え方をシステム上のルールとして実現します。
しかし、その方法は一つではありません。採用する発注方式によって、発注数量の算出方法・計算ロジックが異なります。
下の表は、代表的な4つの自動発注方式の特徴をまとめたものです。
▼図表1:自動発注の4パターン

今回は、これら4つの方式のうち、「売数型(セルワンバイワン方式)」と「在庫基準型(発注点方式)」について詳しく見ていきます。
売数型(セルワンバイワン方式)の場合
売数型(セルワンバイワン方式)は、売れた数量と同じ数量を発注する、比較的シンプルな自動発注方式です。
発注数量の計算に使用するのは「売数累積」のみで、現在の在庫数は参照しません。
そのため、POSレジなどで正確な販売実績を取得できていれば導入しやすく、導入・運用の障壁は低いと言えます。
週末に販売数が増加した場合、その数量が翌週最初の発注に反映されるという特徴があるほか、見切り販売などで売れた商品も販売実績として計上されるため、そのまま発注対象となってしまう点にも注意が必要です。
実際の運用では発注対象を定番商品に限定したり、商品マスタの「発注可能期間」や棚割登録情報を利用して発注条件を設定したりすることで対応します。
ここでは、第1回の例と同じ条件(週3回発注、L/T=2、発注単位6個)を用いて、この方式の動きを見ていきます。
▼図表2:売数型(セルワンバイワン方式)の発注ロジック(一例)

<X+2日>は発注日です。
「発注前:累積売数」が14個あります。この方式では、累積売数の内数で発注単位数(今回は6個)の倍数を発注します。この日は12個を発注し、「発注後:累積売数」は2個となります。
その後、当日の販売数3個が加算されるため、累積売数は5個となります。
<X+3日>は発注日ではないため当日の販売数4個がそのまま加算されます。この時点での累積売数は9個です。
<X+4日>は発注日です。累積売数9個のうち、発注単位数6個分を発注するため、累積売数は3個となります。その後、当日の販売数6個が加算され、翌朝時点の累積売数は9個となります。
このようにセルワンバイワン方式では、累積売数に基づいて発注数量を算出します。発注計算は日々行われ、発注日になると累積売数に応じた数量が起案されます。
その結果、週末に販売した数量が翌週前半の発注に反映されやすく、逆に週前半の販売数量をもとに行う週末の発注は少なめになる傾向があります。
在庫基準型(発注点方式)の場合
在庫基準型(発注点方式)は、あらかじめ設定した「発注点在庫」を下回ったタイミングで発注を行い、「最大在庫数」まで補充する自動発注方式です。
この方式を採用するためには、店舗在庫がシステム上で正確に管理されていることが前提となります。発注から納品、在庫計上、販売実績の反映を経て残在庫が算出され、その在庫数をもとに次回発注が行われるためです。
また商品の仕入数量についても、入荷日と同日にシステムへ反映され、発注システムと連携している必要があります。
ここでは、2つの図表を参照して、在庫型(発注点方式)の動きを具体例で見ていきましょう。
前提条件として、発注点在庫を29個、最大在庫数を48個に設定し、在庫数が発注点を下回った場合に自動発注が行われるものとします。また、発注単位数は6個、納品L/Tは2、発注曜日は月曜日・水曜日・金曜日、納品曜日は火曜日・木曜日・土曜日とします。
▼図表3:在庫基準型(発注点方式)のロジック
①全体の推移

上記の表を見ると、発注日のうち、基準在庫数を下回った場合(ここではX日、X+4日、X+7日の3回)にのみ発注が行われていることが確認できます。
続いては、発注数をどのように決定しているのかについて掘り下げてみましょう。
図表4:在庫基準型(発注点方式)のロジック
②基準数と最大在庫数に基づく発注数の算出

まず現在在庫数が発注点在庫を下回っているかを確認します。X日を例に取ると、現在在庫数25個に対し、発注点在庫は29個であるため、自動発注の対象となります。
次に、最大在庫数48個まで補充するために必要な数量を計算します。
48個(最大在庫数)-25個(現在在庫数)=23個
この23個が、最大在庫数まで補充するために必要な数量です。
ただし、発注は発注単位数(6個)の倍数で行う必要があるため、23個をそのまま発注することはできません。そのため、23個 ÷ 6個 = 3余り5となり、発注数量は18個(6個×3)として起案されます。
このように在庫基準型では、在庫数が発注点を下回った際に、最大在庫数までの不足分を基準として発注数量を算出します。
セルワンバイワン方式が「売れた数」を基準に発注するのに対し、発注点方式は「現在の在庫数」を基準に発注数量を決定する点が大きな違いです。
※今回の例では該当しませんが、リードタイムが長い商品等の場合は、「発注済みで未入荷の数量」も考慮して発注数量が起案されます。
以上、「セルワンバイワン方式」と「発注点方式」の基本的な考え方について解説しました。
自動発注の各方式がどのようなロジックで行われているかを知ることは、部門・商品特性に応じた発注方式を検討する上で重要なポイントです。
第3回では、「PI値予測型」と「需要予測型(AI予測方式)」について見ていきます
(近日公開予定)。




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