未来の需要を見据えた発注方式について知る 部門特性で選ぶ自動発注の基本と実践 第3回「PI値方式とAI利用方式」

※本記事は全4回構成の連載の一部です
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※本シリーズは、株式会社アール・アイ・シー刊
「食品商業 2026年6月号」掲載の
弊社執筆記事をもとに再編集したものです。

過去の実績から、未来の需要を読む
第2回で紹介した「セルワンバイワン方式」や「発注点方式」は、販売実績や在庫数を基準として発注数量を決定する方式でした。
一方で、実際の売場では特売や催事、季節要因などによって販売数が大きく変化することがあります。このような変化に対応するため、自動発注の中には将来の販売数を予測して発注を行う方式も存在します。
今回は、「PI値予測型」と「需要予測型(AI予測方式)」を取り上げ、その仕組みと特徴について解説します。
PI値型(客数予測×PI値型)での計算方法
PI値型方式は、PI値(1000人当たり買上点数)をもとに、来店客数予測をもとに販売数を予測し、その結果から発注数量を算出する仕組みです。
主に日配商品の発注で活用されていますが、在庫型や売数型とは異なり、過去の同一曜日における来店客数とPI値を重視して発注数量を決定します。
来店客数は曜日や天候、チラシ掲載の有無、ポイント施策などによって日々変動します。また、PI値についても売価設定や天候、イベントなどの影響を受けるため、同じ商品であっても大きく変化する場合があります。
例えば、真夏の暑い日には来店客数が減少していても、乳飲料の買上点数は増加するといったように、客数とPI値が反対の動きを示すこともあります。
そのためPI値型発注では、「曜日・天候・客数・PI値」のデータを継続的に蓄積し、客数予測や天気予報なども加味しながら販売予測の精度向上を図ります。
予測精度を高めるためには、実績データをできるだけ正確に記録することも重要です。
例えば、品切れが発生した場合は、その日の状況を可能な範囲で記録しておくとよいでしょう。品切れが発生した時間帯が分かれば、本来はさらに販売機会があったと推測でき、実際の需要を把握する手がかりになります。
※前日に残った見切販売商品については、前日の閉店時または当日の開店時に数量を確認し、廃棄が発生した場合は正しく登録する必要があります。
ここでは、PI値型発注の具体例として、納品リードタイムを「1」(発注した日の翌朝までに商品入荷)、発注単位数を「6」、対象商品を日配商品とした場合のシミュレーションを見ていきます。
▼PI値予測発注の例

このような販売予測や発注数量の算出を担当者が手作業で行うことは非常に負担が大きいため、実際の現場ではPI値型のEOB発注(半自動発注)が活用されています。
EOB画面には、商品が棚順に表示されるとともに、客数予測や同一曜日のPI値に基づく販売予測数、発注起案数、天気予報などの情報が表示されます。
EOBなど各発注方式について詳しくは、下記の記事をご覧ください。↓

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「食品商業 2026年4月号」掲載の弊社執筆記事をも…
担当者は、まず週間発注の締切日時までに発注起案数を確認し、特売商品など必要な商品の数量修正を行います。
この週間発注数は、取引先へ共有される「発注予定数」として扱われますが、最終的な発注数量は確定発注時に決定されます(L/Tが2の場合は前々日確定)。
特に修正がなければ、週間発注で登録された数量がそのまま確定発注数量となります。
PI値の算出方法は直近4週間平均の「週別PI値」を使用する場合のもありますが、直近4週間の「日別PI値」と「日別特売PI値」を分けて管理することで、より精度の高い発注起案数を実現することができます。
ここでいう「発注起案数」とは、システムが算出した発注予定数量を指します。
また、安全在庫は、あらかじめ見切りロス分として利益計画に組み込む必要があります。「見込みロス率」として予算計画に組み込むのが一般的です。
PI値とは?
PI値(Purchase Index)は、「1000人来店した場合に、その商品が何個売れるか」を表す指標です。例えば、ある日に来店客数が500人、販売数が50個だった場合、PI値 = 50 ÷ 500 × 1000 = 100となります。来店客数の増減に左右されずに商品の支持度を把握できるため、小売業では販売分析や発注計画によく活用されています。また、PI値は商品の売価や販促施策、天候、季節要因などによって変化します。同じ商品でも、通常販売時と特売時では大きく異なるPI値になることも珍しくありません。PI値型発注では、このPI値と来店客数予測を組み合わせることで、将来の販売数量を予測しています。
AI予測型(需要予測型)での計算方法
AIを利用した需要予測は、担当者が行う発注判断をシステム上で再現し、高度化した自動発注方式です。
近年は、POSデータの蓄積や機械学習技術の発展に加え、需要予測に関するノウハウも蓄積されてきたことで、予測精度が大きく向上していおり、多くの小売企業で導入が進んでいます。また、一部のシステムベンダーではクラウド型のサプブスクリプション・サービスの提供も進んでおり、比較的小規模な導入から検証を始めやすくなっています。
発注数量の算出にあたっては、過去の販売実績だけでなく、天候、曜日、販促施策、地域イベントなど、販売に影響を与えるさまざまな要因を分析対象とします。これらのデータを需要予測エンジンに学習させることで、将来の販売数量を予測し、発注起案を行います。
また、来店客数や価格変動の影響、季節要因、年間を通じた需要の波動なども考慮しながら予測精度を高めています。需要予測の結果に応じて、発注数量だけでなく、目標在庫数なども柔軟に調整されます。
AIを活用した需要予測型発注は、黎明期には十分な精度を確保できないケースもありましたが、現在では実務で十分活用できる水準にまで進化しています。
ただし、急激な天候変化や災害発生時などは予測が難しい場合もあります。そのため、台風や大雨、洪水などの際には、人が介在して取引先や商品部と連携しながら発注数量を調整することが重要です。
AIでの需要予測について、より詳しく知りたい方は、下記の記事もご参照ください。↓

以上、PI値予測型と需要予測型(AI予測方式)の基本的な考え方について見てきました。
ここまで4つの代表的な自動発注方式を紹介してきましたが、重要なのは「どの方式が優れているか」ではなく、「どの部門・商品に適しているか」を見極めることです。
第4回では、自動発注導入時の留意点や、
方式選定・運用設計のポイントについて解説します。
(近日公開予定)

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