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値下げ表示から始まる利益改善 見切りシールの研究「第1回 見切りシールとは何か?」

※本記事は全4回構成の連載の一部です
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※本シリーズは、株式会社アール・アイ・シー刊
「食品商業 2026年7月号」掲載の
弊社執筆記事をもとに再編集したものです。

はじめに:売場改善 影の立役者

閉店時間が近づくにつれ、1枚、また1枚と更新されていく商品の価格表示。

「見切りシール」は、多くの食品スーパー等で日常的に使われている販促ツールです。日々の業務に溶け込み、当たり前のように機能しているため、その重要性が意識される機会は少ないかもしれません。

しかし実はその運用方法が、顧客満足度、作業効率、レジ精度、食品ロス削減などに少なからず影響を与えます。

本シリーズでは、見切りシールの基本構造をはじめ、来店客の目を引くアイキャッチデザインの考え方や貼付のルール、多段階値引きの考え方を整理するとともに、AIを活用した値引き判断やダイナミックプライシングなど、「これからの見切り業務」についても紹介していきます。

「売価アンマッチ」のリスク

見切りシールは日々の店舗運営に欠かせない一方で、「売価アンマッチ」の原因になる可能性を孕んでいます。

売価アンマッチとは、棚札や見切りシールなどでお客様に表示している売価と、レジ売価(PLU)が異なる現象です。

表示売価より高い金額で販売してしまうと、来店客の信頼を損ね、クレームにつながる恐れがあります。店側から見ると管理ミスであっても、来店客からは故意の水増し請求と受け取られかねず、顧客離れにつながるリスクがあります。

一方、表示売価より安く販売した場合は、利益の損失となるだけでなく、店舗運営の品質に対する不信感を招く可能性があります。

売価アンマッチは、多くの小売店で長年課題とされています。当社メンバーが携わった売価管理改善の取り組みにおいても、客数およそ2,000人あたりに1件の売価アンマッチが発生しており、そのうちの約4割が見切りシールに起因していたという報告があります。これは現場で慢性的に繰り返される、根深い課題です。

図表1:売価アンマッチの例①:過大請求

見切りシールの研究 第1回 図表1

図表2:売価アンマッチの例②:過少請求

見切りシールの研究 第1回 図表2

こうした売価アンマッチの改善に対して、これまでさまざまな対応策が講じられてきました。

例えば、PLU構造の見直しやレジでの重複登録アラートシステムの導入、電子棚札の活用、売価管理やレジ担当者への教育、特売ルールの徹底、商習慣の見直し、丸魚や青果などシールを張り付けられない商品への対処など、小売企業の取り組みは多岐に渡ります。

そのような技術革新・運用方法の改善によって、多くの課題は解消されつつあります。一方で、見切りシールそのものが不要になったわけではありません。値引きのタイミングや貼付ルール、デザインなど、店舗ごとの運用次第で成果が大きく変わる業務であることに変わりはなく、現在でも売価管理における重要なテーマであり続けています。

そもそも、見切りとは?

まずは、「見切り」の基本的な考え方について整理しておきましょう。

見切りシールの研究 第1回 図表3
▲図表3:見切りシールの使用例

「見切り」とは、賞味期限や消費期限が近づいた商品や、ライフサイクルの終盤にある商品を売り切るために行う値下げのことです。見方を変えると、売れ残る可能性のある商品を、できるだけ高い価格で早く現金化するための取り組みともいえます。また近年では、食品ロスの削減という社会的要請も後押しになっています。

見切りを行うには、大きく分けて2つの方法があります。

1つは、同じSKUの商品を一律に値下げする方法です。
この場合は、POSシステムのPLU変更や品群割引(※)機能を利用して売価を変更します。

※品群割引とは、商品分類コード(大中分類)をキーにして指定の商品群を一律で割り引くPOSシステムの一機能です。一方でPLU変更はJANを指定して同一SKUの商品を一斉に売価変更する機能です。

もう1つは、鮮度や傷などの状態によって、一部の商品だけを値下げする方法です。
このような場合に使用されるのが「見切りシール」です。

「SKU」については、以下の記事もご参照ください↓

商品の見切りが発生する3つの条件について、以下にまとめました。

▼図表4:見切りの3パターン

見切りパターン対象品値下げ方法
①ライフサイクルによる見切り同一SKUの全品が対象PLU変更、品群割引
②パッケージ変形・キズ等による見切り当該商品のみ見切りシール
③賞味期限・消費期限の切迫による見切り期限までに売り尽くす商品のみ見切りシール

①の「ライフサイクル」という考え方については、少しイメージしづらいかもしれませんので、次の項で補足していきます。

ライフサイクルと見切り判断

小売店におけるライフサイクルとは、商品が販売されてから販売終了に至るまでの流れ(商品寿命)のことを指します。

代表的な例としては、衣料品や日用品、グロサリー食品などのうち、春夏秋冬といった季節性や、クリスマス・ひな祭りなどの歳時性を持つ商品が挙げられます。

こうした商品は、販売時期を過ぎると需要が低下するため、売り切ることを目的に値下げが行われます。そのため、個別の商品状態に応じて価格を変える見切りシールではなく、PLU変更や品群割引による一斉値下げが行われます。

▼図表5:商品のライフサイクル進行に伴う売れ数・売上の推移

続いて、それぞれの段階における特徴と在庫管理の考え方を見ていきましょう。

▼図表6:商品のライフサイクルに応じた在庫管理

時期傾向と求められる対応
①導入期新商品を来店客に認知してもらうための段階です。
売上はまだ大きく伸びないこともありますが、
定番商品として定着を目指します。
②成長期多くの来店客に購入され、売上が伸びていく時期です。
売筋商品の拡大とあわせて、死筋商品を早めに見直すことで、
品揃えの最適化を行います。
③成熟期販売が安定する時期です。
売筋商品をより重点的に品揃えて売上を確保しながら、
次にくる衰退期での値下げによる利益減に備えます。
④衰退期需要が低下し、売れ行きが低下します。
値下げを行うことで売り切り(在庫ゼロ)を目指し、
次の商品への切り替え準備を進めます。

ここまで見てきたように、商品のライフサイクルに応じた一律の値下げにはPLU変更や品群割引が用いられます。

一方で、日々の店舗運営においては、鮮度や商品状態によって柔軟に売価を調整する必要が出てきます。そんなときに活躍するのが見切りシールです。

次回は、売場で実際に使用されている見切りシールの種類や、
それぞれの特徴・運用方法などについて解説していきます。
第2回を読む

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