新規顧客の獲得から既存顧客のファン化まで、販売促進の手法とポイントを全4回で解説!「小売業の販売促進活動」シリーズ公開中。

商品をスムーズに売場へ届ける 店内物流と整流化の取り組み 第2回「商品補充と荷受けの改善」

店内物流 第2回 アイキャッチ画像

※本記事は全4回構成の連載の一部です
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※本シリーズは、株式会社アール・アイ・シー刊「食品商業 2026年9月号」掲載の
弊社執筆記事をもとに再編集したものです。

目次

店内物流の課題と改善ポイント

店内物流は、商品が入荷してから売場へ補充し、補充後に残った商品や資材をバックヤードへ戻し、最後にゴミや台車を回収するまでの一連の流れで成り立っています。

この流れを円滑に進めるためには、各工程でいくつかのポイントを押さえる必要があります。

主なポイントは、次の4つです。

① 商品補充は、人員体制を組み集中的に行うこと
② 荷受け作業を迅速に行うこと
③ 運搬通路を確保すること
④ 回収物流を適切に管理すること

今回は①商品補充と②荷受け作業について、
次回の第3回では③運搬通路の確保と④回収物流の管理について解説します。

補充作業の人員配置

商品補充を支える「定時一括納品」

店内物流の“起こり”は、商品の入荷です。

入荷した商品は荷受け場やバックヤードに滞留させず、受け取り次第、できるだけ速やかに売場へ届けることが理想です。しかし、入荷時間が定まっていない状態で人員を配置すると、入荷を待つための待機時間や、特定の時間帯に作業が集中することによる過重労働など、ムリやムダが生じます。

店舗では、入荷のためだけに臨時の人員を集めたり、特定の作業割り当てがない浮動の人員を置いておくことはできません。入荷時間をあらかじめ決め、人員を計画的に配置することが欠かせません。

こうした要求を実現するのが、「定時一括納品」というストア物流の仕組みです。これは店内物流を円滑に進めるための重要な基盤となる考え方です。

「定時一括納品」では、複数の納品をあらかじめ約束した時間帯に集約し、まとめて納品します。これにより店舗側は、納品時間に合わせて必要な人員(人時)を計画的に配置し、荷受けから商品補充までの作業に集中できるようになります。

定時一括納品が求められた背景

1980年以前の日本のチェーンストアでは、品揃えを維持するため、複数のメーカーや卸売業者から、それぞれ異なる日程・時間に五月雨式で納品を受けるの場合がほとんどでした。

例えば、GMSの大型店では、1日に100台以上のトラックが出入りすることもあり、荷受け場でのバース待ち(トラックが荷物の積み下ろしを行うまでの待ち時間)や検品待ちが多発していました。その結果、商品の売場への引き渡しが大幅に遅れることも、珍しくありませんでした。

現在では、物流センターや共同配送センターへの物流拠点の集約が進み、「定時一括納品」に加え、次項で取り上げる「ノー検品」「カテゴリー別納品」など、リードタイム(LT)の短縮を実現するストア物流の仕組みが整備されています。

これらの仕組みによって、店舗は限られた人員を効率的に配置しながら、入荷した商品をよりスムーズに売場へ届けられるようになっています。

▼図表1:従来の納品

店内物流の整流化 第2回 図表1

図表2:現在の納品

店内物流の整流化 第2回 図表2

荷受け作業の迅速化

荷受けの効率化に貢献する台車での納品とASN

荷受け作業では、入荷に伴う検品・検収業務をできるだけ短時間で終わらせ、商品を速やかに補充作業者へ引き渡すことが重要です。

そのためには、トラックからの荷下ろしや納品伝票に関する検収事務を効率化する必要があります。荷受け作業の迅速化は、国が推進する「改正物流効率化法」の方向性とも合致しています。物流効率化法では、2028年度までに、荷待ち・荷役等の時間短縮や積載効率の向上を目指しています。

ここでは、荷受け作業を効率化するための代表的な仕組みとして、「台車納品」と「ASN(事前出荷情報)」について見ていきます。

■台車納品で荷下ろしと運搬を効率化する

商品がトラックにバラ積みされている場合、荷受け時に一つひとつ手作業で下ろし、台車へ積み替える必要があります。この作業は時間と人手を要し、荷受け作業の長時間化につながります。

そこで有効なのが、商品をあらかじめ台車に積載した状態で納品する「台車納品」です。店舗では台車ごと荷下ろしを行い、そのまま売場やバックヤードへ運搬できるため、積み替え作業を省略し、荷受けから商品補充までの時間を短縮できます。

現在では台車による納品も一般化していますが、積載効率を重視した大型のカゴ台車が使われることが多く、売場までそのまま運搬できるスリムな台車を採用する事例は少ないようです。

■ASNで荷受け作業を効率化する

荷受け作業を迅速化する方法の一つが、ASN(Advanced Shipping Notice)の導入です。ASNとは、取引先が物流センターや店舗に対して、出荷する商品の情報を事前に通知する仕組みで、「事前出荷情報」とも呼ばれます。EDI(電子データ交換)やWMS(倉庫管理システム)などと連携して運用され、これらを通じて、取引先と出荷情報を正確かつ効率的に共有します。

ASNでJANコードや数量、入荷予定日時、受注番号などの情報をあらかじめ共有しておくことで、納品時の検品・検収作業を簡略化できます。これにより、商品をトラックから速やかに引き取り、補充作業者へ早く引き渡すことが可能になります。

物流センター側で店舗ごとに商品を台車へ積み分けて出荷すれば、店舗では台車単位で検収を行うこともできます。個々の商品を一つひとつ確認する必要がなくなるため、トラック1台あたりの検品・検収時間をさらに短縮できます。ASN導入前はトラック1台あたり10分以上かかっていた検品作業が、導入後には2分程度まで短縮された事例もあります。

■「ノー検品」を支える納入精度と取引先との関係

ASNは、取引先ごとの未納・遅納・誤納の状況を確認し、納品精度(納入率)の高い取引先との信頼関係のもとで運用することが前提となっています。

納入率とは、発注内容どおりに、遅れや誤りなく納品された割合を指します。納入精度の低い取引先に対しては改善を求めるなど、納品精度を高めながらシステムを運用していく必要があります。

あるチェーンストアでは、ASN導入前には2%あった未納・遅納・誤納が、導入後には0.01%まで減少したというデータもあります。

中小規模のスーパーマーケットなどでは、売場へ商品を早く引き渡すことを優先し、納品伝票を抜き取るだけで実質的な検品を省略するケースも見られます。これは作業効率と財務・管理上のルールが二律背反に陥っている状態といえます。

ASNを活用したノー検品・伝票レスは、こうした現場の効率化と適切な管理を両立させるための仕組みです。事前に出荷情報を共有し、納入精度を維持することで、納品時の個別検品を省略することが可能になります。商品をトラックから速やかに引き取り、結果として売場へのリードタイム(LT)を大きく短縮することができます。

特に日配・生鮮などの要冷品では、荷下ろし後に冷蔵・冷凍設備へ収めるまでの時間を短縮できるため、鮮度維持の面でも効果が期待できます。

▲図表3:荷受け作業の迅速化と管理性の維持を実現するEDI・WMS・ASNシステムの連携

カテゴリー別納品:仕分作業の省力化

カテゴリー別納品とは、トラックに積載する商品を店舗単位でまとめたうえで、菓子や和日配など、売場のカテゴリー・通路・棚割ごとに仕分けて納品する方法です。

カテゴリー別納品を行わない場合、売場担当者は入荷した商品をバックヤードで売場や通路、棚割ごとに仕分けし、補充用台車へ積み替える作業が必要になります。

あらかじめ売場別に商品をまとめておくことで、店舗での仕分けや積み替え作業を省略でき、補充作業者は納品された台車から売場へ直接商品を運搬できます。作業時間の短縮・作業負担の軽減につなげるために有効な仕組みと言えます。

ただし、カテゴリー別納品の単位を細かくしすぎると、物流センター側の仕分け作業や管理負担が増え、ストア物流全体のコスト上昇につながる可能性があります。店舗側の作業効率だけでなく、物流拠点や取引先を含めた全体の負担を考慮し、適切な単位で運用することが重要です。

次回(第3回)は、
「運搬通路」と「回収物流」に焦点を当て解説します。
第3回を読む➡

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