補充作業の動線とタイミングを整える 店内物流と整流化の取り組み 第3回「運搬通路と回収物流の改善」

※本記事は全4回構成の連載の一部です
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※本シリーズは、株式会社アール・アイ・シー刊「食品商業 2026年9月号」掲載の
弊社執筆記事をもとに再編集したものです。

前回は、商品を店舗に受け入れ、できるだけ早く売場へ届けるための「納品」と「荷受け」について解説しました。
しかし、荷受けを効率化しても、商品を運ぶための通路が確保されていなければ、店内物流はスムーズに進みません。また、使用済みの台車や資材などを適切に回収することも、店内の物流を滞らせないためには重要です。
今回は、商品を「運ぶ」ための通路と、物流の過程で発生するものを「戻す」回収物流に焦点を当てます。
運搬通路を確保する
商品を荷受けした後は、バックヤードから売場まで商品を運び、補充する作業が始まります。このとき、商品や台車をスムーズに運ぶための通路が確保されていなければ、運搬そのものが滞り、店内物流全体の流れにも影響します。
ここで言う「通路」とは、店内の商品補給路のことです。具体的には、荷受け場と売場・バックヤード(加工所や冷蔵・冷凍庫などの在庫置場を含む)を結ぶ通り道を指します。通路上の障害物を取り除き、通行可能な空間を確保・維持することが、スムーズな商品の流れには欠かせません。
バックヤードの通路は、全従業員が共通して使用する「主通路」と、特定の部門が使用する「サブ通路」に分けられます。
主通路は、店舗内の商品や人が行き交う「動脈」ともいえる場所です。運搬や通行のみを目的とし、原則主通路では作業を行いません。
一方でサブ通路は、該当部門が商品の積み替えや包装・加工などの作業で自由に使用することができますが、在庫を置いておく場所ではありません。作業が終われば、速やかに撤収して通路として使用できる状態に戻します。
また、バックヤードと売場をつなぐ主通路は、主に商品補充に使用されます。補充作業の時間帯によって使用するルートや段取りが異なるため、「営業中補充」と「営業時間外補充」を使い分けながら、売場への運搬を行います。
▼図表1:バックヤードと売場をつなぐ主通路

営業時間中に補充を行う場合
営業中に商品を補充する場合のルートは、運搬動線がお客様の動線と重なって阻害しないことを第一に考慮して決めます。
営業中の売場では、お客様への配慮が最優先です。そのため、補充作業中にお客様と接近した場合には、以下のような対応が求められます。
- 売場でお客様とすれ違う場合は、「いらっしゃいませ」と挨拶する。
- 作業中にお客様が来られた場合は、作業を止めてお客様の買物を優先する。
- お客様が売場から離れた際には、軽く「ありがとうございました」とお声掛けして作業を再開する。
- お客様から売場案内や商品の場所を尋ねられた場合は、作業を止めて接客する。
このように、営業中の補充作業では、お客様への対応によって作業が中断される場面があります。
だからこそ、運搬ルートをあらかじめ設定し、効率よく補充作業を円滑に進めることが重要になります。
また、営業時間中ならば、いつ、どんな時間帯でも補充を行っていいわけではありません。
ピーク時間帯が来るまでに補充作業を終えることが基本です。「何時までに補充を完了させるか」を全作業者で共有し、時間を厳守しながら進めます。もし現状の人員だけではピーク前に補充を終えられない場合には、スポット人材サービス等の利用も選択肢に入れる必要があります。
ピーク時間に合わせて売場の品揃えを万全にしておくことがお客様からの店舗への信頼を維持し、ゆくゆくは売り上げへの貢献につながるという意味でも、とても大切なポイントといえます。
ピーク時間帯は、店舗の立地や規模、客層などによっても異なりますが、一般的には主婦層や高齢者の利用が多い11時台と16時台、仕事帰りの来店が集中する17~19時を指します(平日と土日ではこの傾向も多少異なります)。
営業中の補充作業では、使用する台車やゴミの扱いにも配慮が必要です。
台車は、できるだけ小型のものを使用し、ストア物流で使用する大型のカゴ台車は避けます。補充後に発生する包装ゴミについても、ゴミ袋を台車に取り付けて補充と同時に回収し、売場に散乱させないようにします。
ダンボールはその都度つぶして畳み、台車に積み込みます。ゴミを床に落としたままにすると、お客様の通行を妨げるだけでなく、転倒事故につながるおそれもあります。
営業中の補充は、お客様の買物を妨げないよう、時間・人員・道具・ゴミの扱いまで含めて、できるだけコンパクトに行うことが特に重要です。

営業中の補充では、基本的には1人の作業者が複数の工程を一貫して担当するという考え方で行い、複数人で作業する場合でも、「1台車1人」を原則とします。工場の作業に例えると、一人で複数の工程を担当する「多能工」に近い考え方です。
営業中補充の工程を分解すると、以下のPERT図*のようになります。

*このPERT図は、作業の前後関係を示す図です。「○」は作業の節目、「→」は作業を表します。「点線」は作業の前後関係のみを示すもので、実際の作業はありません。
a)売場チェック:商品整理を行いながら品薄や欠品を見つけメモ(ピッキングリスト)をつくります。メモにはどの商品がいくつ必要かを記入します。
(b)準備: バックヤードで携行品の準備をします。(カッターナイフ・ゴミ袋等の携行用具・二段台車・踏み台等、補充で使用する道具の準備)
(c)集品:バックヤードの在庫からメモに基づき台車に集品します。
(d)入荷:営業中に入荷した商品は、ストア物流で使う大型台車のままで売場に運搬するのではなく、小型台車に積み替えて運搬します。
(e)(f)運搬:営業中の運搬ルートは、なるべく客動線とぶつからないルートを選びます。また、台車で運ぶ商品は前方の視界が大きく遮られない高さで積載します。台車は、お客様との衝突を避けるため引いて運転します。
(g)補充:常にお客様の買物を邪魔しないよう気配りをして作業します。台車は該当の棚まで移動させます。
(h)回収:補充残や包装ゴミは随時回収を行います。
(i)撤収:補充残やゴミをバックヤードに回収します。回収物はそれぞれの置場に戻します。
(j)完了チェック:ゴミ、空台車の回収漏れがないかチェックしたあと、包装ゴミが散乱していれば床用モップで掃除し終わります。
営業時間外に補充を行う場合
営業時間外の売場では、お客様の買物を妨げないように配慮する必要がないため、補充作業に集中することができます。作業スペースも広く使うことができ、歩行時間や手待ち時間など、作業に伴うムダな動きを減らしながら、生産性の向上に取り組むことができます。
運搬ルートについても、他部門の作業を妨げない限り、最短のルートを選択します。営業時間中のようにお客様の動線を考慮する必要がないため、効率を優先した作業が可能です。
作業時間帯は、主に開店前の時間帯(6時以降)に設定している企業が多くみられます。これは、22時から翌朝5時までの労働には、労働基準法に基づく深夜割増賃金が適用されるためです。
そのため、立地やマーケット戦略などの理由から22時以降も営業する店舗を除き、閉店後の深夜帯に補充作業を行うことは避け、開店前の時間帯に作業を行う傾向があります。
営業時間外補充の工程を分解すると、以下のようになります。作業は複数人で個々の工程を分業化します。作業を集中して機械的に行う環境があるため生産性が上がります。工場で例えればベルトコンベアを使った流れ作業(1人1人が単一の業務のみ担当する単能工)のイメージです。

(a)準備: バックヤードで携行品の準備をします(カッターナイフ・ゴミ袋等の携行用具・二段台車・踏み台等、補充で使用する道具の準備)。
(b)集品:先入れ先出しを徹底するため、バックヤードの補充残を全て売場に運搬します。お客様がいないので運搬効率を優先し、台車には最大量で積載します。
(c)入荷:開店前入荷の商品は物流台車に載せたまま売場に運搬。開店前に入荷する商品は日配、生鮮等の消費・賞味期限が短い商品が主流です。グロサリーや生活用品などの常温商品は、営業時間中に定時入荷させる企業が多いです。営業中入荷品は、営業中補充を行うか、閉店後または翌朝の開店前までバックヤードに一時仮置きし営業時間外補充を行う企業もあります(営業時間外の方が作業効率が良いため)。
(d)(e)運搬:営業外時間の運搬ルートは、他の部門の作業とぶつからない限り最短ルートを選びます。
(f)バラマキ:運搬した商品は、該当商品の棚前(通路)にダンボールや袋などの荷姿まま、積み下ろします。どんどん通路に配置していきます。この畑に種を蒔くような作業をバラマキと言い、「持つ」「運ぶ」「陳列する」作業をできる限り分業することを目的としています。

(g)補充とゴミ集積:バラマキが終わったら開梱を行い、商品を棚に補充します。ゴミは作業の邪魔にならないよう通路の端に固めて集積します。
(h)回収:次に床に放置したダンボールや包装ゴミは、補充終了後に回収し、バックヤードのゴミ集積場に運びます。空の台車もバックヤードに回収し、空台車置場に戻します。
(i)補充残商品の撤収:補充後の補充残商品は台車に積んでバックヤードの棚割に戻します。
(j)完了チェック:補充忘れ、ゴミ、空台車の回収漏れがないかチェックしたあと、包装ゴミが散乱していれば床用モップで掃除して終了です。
回収物流を管理する
商品を売場へ運ぶ流れだけでなく、店舗で発生したゴミや不要な資材を適切に回収・搬出することも、店内物流の重要な役割です。
ゴミの回収物流
ゴミの適切な回収・搬出が行われなければ、バックヤードは廃棄物であふれ、労働環境が悪化するだけでなく、異臭やハエ・ゴキブリ・ネズミなどの発生にもつながります。こうした問題を防ぎ、衛生的な店舗環境を維持するためにも、ゴミの適切な管理が求められます。
店舗から排出されるゴミ(廃棄物)には、「産業廃棄物」と「事業系一般廃棄物」があります。これらの集積場については、床面積やゴミの分別区画、掲示板の設置などの基準が定められています。また、廃棄物の処分についても、事業者には適切に管理・処理する責任があります。
▼図表6:店舗で発生するゴミ 2つの区分

※自然発火のリスクがある廃油、天かすの置場は、他のゴミと隔離し、近くに消火設備を設け通気性のよい場所に設置します。そこで廃油は冷やしてから専門回収業者に引き渡します。また天かすは冷やしたのちに事業系一般廃棄物として廃棄します。

ゴミ集積場までの通路を確保するだけでなく、集積場そのものについても、法令や基準を満たしたうえで、1日の排出量を予測して適切に設置・運用することが重要です。店内にゴミを滞留させないためには、排出量に応じて産廃業者と回収頻度を調整する必要があります。
また近年では、店舗での資源回収への取り組みも広がっています。店頭にリサイクルボックスを設置し、消費者と協力しペットボトルなどの資源を回収する企業も増えています。
こうした取り組みが広がることで、店舗で扱う資源物の種類も増え、ゴミ処理においてはこれまで以上に細かな分別が必要になります。そのため、ゴミ集積場についても、廃棄物や資源物の種類に応じた明確な区分を設け、適切に管理することが求められます。
物流マテハン(空台車・オリコン)の回収物流
納品時に商品を積んだ状態で店舗に運び込まれたマテハンは、空の状態にした後マテハン置場へ仮置きし、次の運行時に物流センターや卸売業者へ返却します。
マテハンの仮置き場が十分に確保されていない店舗も見受けられますが、空台車やオリコンを通路や荷受け場に置いたままにすることで他の作業や商品の運搬を妨げ、店内物流の整流化を阻害する要因となります。そのため、納品後のマテハンを一時的に集約できる場所を確保しておくことが重要です。
また、屋外にマテハンを仮置きする場合は、安全面にも注意が必要です。特に空の台車は強風にあおられて動き出すおそれがあるため、車輪のストッパーをかけたり、端に置いた台車に輪止めを使用したりするなど、事故を防ぐための対策を講じます。
▼図表8:屋外マテハン仮置き場の様子

店内物流を円滑にするためには、商品をスムーズに運ぶための通路を確保するだけでなく、ゴミや空台車などを適切に回収する仕組みも欠かせません。
「運ぶ」と「集める」の両方の流れを整えることが、整流化につながります。
次回(第4回)は、
次回は、店内物流を支える「人」と「環境」に目を向けます。
第4回を読む
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