「買いたい」を生み出す売場づくりとは? 小売業の販売促進活動 第3回「店舗内販促活動(インストアプロモーション)の手法」

※本記事は全4回構成の連載の一部です
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※本シリーズは、株式会社アール・アイ・シー刊「食品商業 2026年10月号」掲載の
弊社執筆記事をもとに再編集したものです。

第1回・第2回では、チラシやSNS、広告、イベントなど、店舗外で消費者に情報を届け、来店を促すための販売促進活動について紹介しました。
加えて、実際に来店したお客様に商品を購入してもらうためには、売場での働きかけも重要です。値引きやポイント還元によってお得感を伝える方法のほか、POPやディスプレイで商品の魅力を伝えたり、試食や実演を通じて実際に商品を体験してもらったりと、さまざまな手法があります。
今回は、店舗内で購買意欲を高め、販売につなげるインストアプロモーション(店舗内販促活動)の主な手法について解説します。
価格主導型のプロモーション
小売業における店内販促活動(インストアプロモーション)とは、実店舗でお客様に直接アプローチし、購買意欲を刺激して販売を促進する活動です。来店客の「その場で買う」という衝動買いを促すための施策であり、大きく分けて「価格訴求」と「非価格訴求」の2種類に分類されます。
直接的な値引きや特典によって、お得感を感じさせて購買を促す「価格主導型」のプロモーション手法には、以下のようなものがあります。
割引・特売
通常価格から値引きするセールや、期間限定の割引など、商品を通常より安く販売するのは最もダイレクトな価格主導型プロモーションといえます。購入を迷っているお客様の背中を押したり、特売商品を目当てとした来店を促したりすることができます。
バンドル販売
「2個で500円」など、複数の商品をまとめて販売する手法です。複数個の購入を促し、客単価の向上につなげます。特に菓子類やビール、日用品など定期的な消費と結びつきやすい商品において、節約志向の消費者に対し強く訴求することができます。
増量パック
通常の商品と同じ価格で内容量を増やすなど、商品1個あたりの割安感を訴求する手法です。価格を据え置いたまま提供価値を高められるため、お得感を伝えながら購入を促すことができます。期間限定で実施することで、高い販促効果が期待できます
ポイント還元(倍率アップなど)
「3倍ポイントセール」などのポイント付与に関するキャンペーン等を積極的に利用し、日常の買い物でポイントを効率よく貯めるポイント活動(ポイ活)は、今般の購買価格の高騰により、家計防衛策として注目度を増しています。実質的な値引きとして機能するポイントを賢く貯めることで負担の大きい食費や日用品費をうまくカバーしようとする消費者心理とマッチした施策といえます。
クーポンの発行
対象店舗での買い物で利用できる割引クーポンなどを発行します。レジでの精算時やレシートと一緒にクーポンを発行する方法のほか、購買履歴データを分析し、購入した商品やお客様の購買傾向に応じたクーポンを提供する方法もあります。次回の買い物で使える特典を用意することで、再来店のきっかけをつくるとともに、関連商品の購入を促すことにもつながります
非価格主導型のプロモーション
価格以外の面での付加価値や体験、情報の提供によって商品の魅力を伝え、購買意欲を刺激する非価格主導型の販促手法としては、以下のようなものが挙げられます。
POP・ディスプレイ
手書きのPOPやデジタルサイネージ、特徴的な陳列(エンド陳列など)による視覚的なアピールで購買を促します。
特にデジタルサイネージの活用の一部事例では、AIカメラや顔認識技術を活用し「万引き防止」と「販売促進」を両立させる高度なソリューションが展開されています。
万引き防止では不審な行動や顔情報をAIが察知し、特定された対象者に対してアラートや警告を出して被害を未然に防ぎます。
販売促進ではお買い物中のお客様の年代・性別などの属性をリアルタイムで分析し、その人に適したプロモーション動画を表示して購買意欲を刺激します。
試飲・試食・デモンストレーション
五感に訴えかけ、商品の味や使い方を実際に体験してもらうプロモーションです。商品の魅力を実感してもらうことで、購買意欲を高める効果が期待できます。
効果を高めるには、次のような工夫が重要です。
・具体的なおすすめポイントの伝達: 「今夜のおつまみにぴったり」など、利用シーンやメリットを一言添えながら手渡しで提供し、会話を通じて商品の理解を促します。
・衛生管理の徹底: 適切な温度管理や手指の消毒、使い捨てのスプーン・紙コップの使用、アレルギー表示など、安全に提供するための準備を整えます。
・五感に訴える演出: 調理中の音や香り、できたての様子など(シズル感)を伝え、商品の魅力を強く訴求できる場をつくります。
サンプル配布・ノベルティ
購入者への粗品プレゼントや試供品の配布、新規顧客の獲得や購買意欲の刺激に非常に効果的です。
最大のポイントは、「ターゲットの生活動線に合わせた体験価値」と「配布で終わらせない、次への明確な動線設計」です。
ただ棚に置くだけでなく、スタッフが「新商品のお試しです」と手渡しすることで、商品の特長や魅力をダイレクトに伝えられ、試食やサンプル配布を行ったその足で、すぐに該当商品を購入できる導線(陳列)を作ります。
また、「配って終わり」を防ぐため、ノベルティ自体や同梱チラシにQRコードを印刷し、次回使えるクーポンやキャンペーン応募への誘導を組み込むなどの工夫も有効です。
実演販売
販売員が商品を実際に使用しながら、機能や使い方、利便性などを具体的に紹介する手法です。商品の特徴を実演によって分かりやすく伝え、購入後の利用イメージを持ってもらうことで、購買意欲を高めます。
効果を高めるには、目を引く実演でお客様の関心を引くだけでなく、商品のスペックを説明するだけでは伝わりにくいメリットを、具体的な使用場面とともに紹介することが大切です。
また、「こんなお悩みはありませんか?」といった問い掛けを通じて、お客様のニーズに合った提案を行い、一方的に購入を勧めるのではなく、「説得」よりも「納得」を生む接客を心掛けます。
まとめ
価格主導型/非価格主導型のインストアプロモーションについてまとめると、下記のようイメージになります。

このように、インストアプロモーションには、値引きやポイント還元によってお得感を伝える方法から、POPや試食・実演販売などを通じて商品の魅力を伝える方法まで、さまざまな手法があります。
商品の特性やお客様のニーズに合わせて工夫することで、購買を後押しすることが可能になります。
第4回は、インストアプロモーションを成功させるための重要なポイントと、販売促進活動の今後について見ていきます
(※近日公開予定)。
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